2019年4月に新設された在留資格「特定技能」は、人材不足に陥っている産業で外国人材の受け入れを増やすために導入されました。
特定技能外国人を受け入れ可能なのは「特定14業種」に指定されている業種で、深刻な人材不足に悩む介護業界も含まれています。
介護分野で外国人採用を検討するにあたり、特定技能「介護」は最も有力な選択肢となるでしょう。
今回は特定技能「介護」について、ゼロからでも分かる解説をしていきますので、ぜひ参考にしてください。
介護業界は深刻な人材不足にある
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少子高齢化の影響により、介護の需要は年々高まり続けているにも関わらず、日本の介護業界は深刻な人材不足に陥っています。
生産労働人口が減少し続けている中で、日本国内での人材確保は難しいのが現実です。
今後も改善される見込みがなく、高齢者数の増加は今後さらに加速すると予想されています。
介護業界の有効求人倍率の高さが表す人材不足
下図においては、介護関係職種の有効求人倍率が全職業より高い水準にあると示しています。
年別に見ると2018年は失業率2.4%なのに対し、介護関係職種の有効求人倍率が3.95%です。
月別では2019年12月時点の失業率が2.2%だったのに対し、介護関係職種の有効求人倍率が4.73%にまで上昇しています。
この結果から、介護業界がいかに人材不足であるかが分かるでしょう。
出典:福祉・介護人材確保対策等について「厚生労働省社会・援護局福祉基盤課 福祉人材確保対策室」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000605568.pdf
介護業界の問題点
介護業界が人材不足に陥る原因としては、同業他社との人材獲得競争の激しさと労働条件の悪さが挙げられます。
他産業と比較すると給与水準が低く、将来の見込みが立たないとの声が聞かれ、離職率の高さにつながっています。
過去に内閣府が行った世論調査の結果は、介護職に対するマイナスイメージが強く定着していることを表わしています。
そのため、近年処遇改善が実施されているにも関わらず、介護業界への就職は避けられてしまっているのです。
出典:介護人材の確保・介護現場の革新「厚生労働省老健局」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000531297.pdf
特定技能における介護人材とは?
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日本国内で介護分野における人材不足の解消が困難となったことで、外国人材を受け入れなければ今後立ち行かなくなることが明らかとなりました。
2025年度末までに新たに約55万人の介護人材を確保する必要がある中で、これまでの制度を見直す必要に迫られたのです。
特定技能が新設される以前、介護分野では次の3つの在留資格で外国人材を受け入れていました。
しかし、いずれも厳しい制限や求められる要件が高いなど、人材不足を解消する目的とはなっていません。
介護分野における特定技能以外の3つの在留資格
- EPA
- 介護
- 技能実習
特定技能「介護」は他の在留資格とは別に、受け入れ見込み数(5年間の最大値)を60,000人として運用開始されました。
特定技能は1号と2号に分かれており、介護分野に従事可能なのは特定技能1号のみです。
受け入れ条件も従来の在留資格よりも緩和されたものとなり、介護分野では雇用しやすいです。
「特定技能1号」と「特定技能2号」の違い
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出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
特定技能「介護」の資格を取得するには?
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特定技能「介護」では、即戦力となる外国人材が求められています。
介護分野で必要な技能と日本語力を有していることが要件です。
特定技能「介護」を取得するには、介護分野で就業できることを証明するため、次の4つのいずれかを満たさなければなりません。
1. 技能試験と日本語試験に合格すること
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出典:新たな在留資格「特定技能」について「法務省」
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000485526.pdf
2. 介護福祉士養成施設の修了者
介護福祉士養成施設の要件には、日本語教育や日本語での実習が組み込まれています。
そのため、介護分野で必要とされる技能や日本語能力は身に付けていると認められ、技能試験や日本語試験は免除されます。
3. EPA介護福祉士候補者として4年間の在留期間満了者
介護福祉士養成施設の修了者と同様に試験は免除されます。
EPA介護福祉士候補者として4年間の就学・研修を適切に行っていれば、介護分野で従事可能な能力は有していると認められるからです。
4. 技能実習2号の良好修了者
技能実習2号修了者は、3年間の実習生活で必要な日本語力を身に付けていると認められます。
技能においても特定技能「介護」と同水準の要件となっているため、即戦力として試験が免除されるのです。
特定技能「介護」で認められている業務は?
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特定技能「介護」では従来の在留資格よりも幅広い業務に携われます。
訪問系サービス以外であれば基本的にすべて可能です。
- ⾝体介護など
- 介護サービス利⽤者の⼼⾝の状況に応じた⼊浴、⾷事、排せつの介助など
- 上記に付随する⽀援業務
- レクリエーションの実施や機能訓練の補助など
特定技能「介護」の受け入れ企業が注意すべき点
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特定技能「介護」の受け入れに際し、企業は次の点に注意する必要があります
●介護分野では直接雇用のみ可能
派遣雇用は農業・漁業のみで認められています。
●日本人と同等の待遇であること
報酬や福利厚生は日本人と同等でなければなりません。
●特定技能「介護」の外国人材が日本人等の常勤介護職員の総数を上回らないこと
日本人「等」には以下の外国人材が含まれるため注意が必要です。
- 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
- 在留資格「介護」で在留する者
- 永住者や日本人の配偶者といった身分・地位に基づく在留資格で在留する者
※技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は含みません。
●「介護分野における特定技能協議会」へ加入
特定技能「介護」人材を初めて受け入れる企業・団体は、受け入れから4ヶ月以内に「介護分野における特定技能協議会」へ加入することが義務付けられています。
●特定技能「介護」人材に対する支援体制の構築
受け入れ企業は、特定技能「介護」人材に対する支援体制を自社内で構築しなければなりません。
自社での支援が難しければ「登録支援機関」へ支援業務を委託することも可能です。
まとめ
介護分野では人手不足が深刻化しており、外国人材の受け入れなしには立ち行かなくなっています。
労働人口の減少が止まらない日本では、特定技能「介護」人材が今後さらに加速する超高齢社会を支えてくれる存在となるはずです。
もはや介護に携わる企業は、日本国内の人材のみに固執するべきではありません。
必要な技能を有した人材を海外から積極的に受け入れることが求められています。
介護分野で外国人採用を成功させるためにも、特定技能「介護」についてぜひ押さえておきましょう。