特定技能の登録支援機関についてすべてが分かる徹底解説

2021年08月12日

特定技能外国人の採用をする採用担当者や企業にとって、悩みの種なるのが「受け入れに伴う支援業務」でしょう。

企業には、特定技能外国人に対する支援が義務付けられています。

必須とされているサポートが行えなければ、受け入れは認められていません。

そこで活用できるのが「登録支援機関」で、すべての支援業務を受け入れ機関(企業)に代わって行ってくれます。

今回は、登録支援機関の概要と役割について徹底解説していきますので、ぜひご覧ください。

 

登録支援機関とは?

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登録支援機関は、支援業務を受け入れ機関(企業)から依頼され代行する機関です。

1号特定技能」の在留資格を持つ外国人を受け入れる際、受け入れ機関(企業)は支援計画を作成し、必ず特定技能外国人をサポートしなければいけません。

支援内容は専門的な内容を含み多岐にわたることから、受け入れ機関(企業)にとっては大きな負担となります。

そこで、代わりに様々な業務を引き受けてくれるのが登録支援機関なのです。

受入れ機関(企業)は、1号特定技能外国人に対して「1号特定技能」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画。以下 「支援計画」という。)を作成し、当該計画に基づき支援を行わなければならない。

2号特定技能については、支援義務がない。

 

出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf

 

登録支援機関が果たす役割

https://unsplash.com/photos/5fNmWej4tAA

 

登録支援機関は支援計画に沿って必要な支援をすべて代行します。

登録支援機関が果たす役割としては主に以下の通りです。

  • 支援体制の整備
  • 支援計画書の作成
  • 支援業務

支援は特定技能外国人が「問題なく理解できる言語」で行われなければなりません。

支援計画を作る段階でも、外国人が問題なく理解できる言語のものを日本語とともに用意します。

こうした支援業務を受け入れ機関(企業)が行うのは容易ではありません。

支援体制の整備や、支援業務にかかるコストと工数が大きいため、ほとんどの企業が登録支援機関に委託すると想定されています

 

登録支援機関による義務的支援

https://unsplash.com/photos/_UIVmIBB3JU

 

特定技能外国人に対する支援には、実施を義務付けられているものが決められています。

必須の項目は下図に挙げられている通りです。

なお、特定技能外国人への義務的支援と出入国在留管理庁への各種届出を怠った場合は、登録取り消し処分の対象となるので気をつけましょう。

出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」

https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf

 

登録支援機関による任意的支援

https://unsplash.com/photos/3ot5ppgOhew

 

義務的支援は必須のものであるのに対し、可能な範囲での実施が望ましいとされていのが任意的支援です。

任意的支援は義務的支援を補う位置付けとして捉えられています。

 

出国する際の送迎

1号特定技能外国人に対しては、出入国時の送迎が義務付けられています

しかし、すでに日本在留の外国人が、在留資格を2号技能実習から1号特定技能へ変更した場合は、送迎の義務はありません。

ただし、任意での支援は望ましいものとされています。

 

住居確保・生活に必要な契約支援

外国人労働者との雇用契約が終了しても、次の受け入れ先が決定するまでは、住む場所を確保するための手助けを行うことが望まれています。

契約や手続きのサポートを行い、日常生活をスムーズに送れるよう手助けし、外国人労働者が不安を取り除くことが好ましいです。

 

生活オリエンテーション

日本で生活するにあたってのルールやマナーを伝えることは必須となっています。

オリエンテーションは日本に入国した後に行われますが、一度だけでなく定期的に行うのが良いとされています。

 

日本語学習の機会の提供

必ず行われる日本語学習の情報・機会の提供に留まらず、日本語能力試験や資格取得のサポートなどが望まれています。

 

相談または苦情への対応

相談を受けてから適切な機関を案内するだけでなく、各機関を連絡先とともにリスト化し、事前に配布するのが良いとされています。

 

日本人との交流促進

外国人が地域の日本人との交流を目的として、地域の行事やお祭りなどへ参加を希望した場合、率先して補助することが望まれています。

具体的には、業務に差し支えない範囲で有給休暇の取得を促したり、勤務時間を調整するなどの配慮が求められます。

 

定期的な面談の実施、行政機関への通報

労働基準法違反などのトラブルが発生した際、外国人がすぐに通報できるよう行政機関を連絡先とともにリスト化し、配布しておくことが良いとされています。

 

登録支援機関の登録要件

https://unsplash.com/photos/E_-URe754nM

 

登録支援機関は要件を満たしていれば、個人や団体に限らず誰でもなることが可能です

登録は出入国在留管理庁による審査を経て行われます。

登録支援機関としての登録が認められるには、次の要件を満たさなければなりません

1. 機関そのものが適切である。

2. 外国人を支援する体制が整っている。

具体的には以下の内容となります。

  1. 支援責任者および1名以上の支援担当者が選任されている。

    ・支援責任者
    支援計画の実施における責任者。

    ・支援担当者
    支援業務の担当者。


     
  2. 次のいずれかの実績や経験を有している。
  1. 個人または団体は、中長期在留外国人を2年以内に受け入れまたは管理を適正に行った実績がある。
  2. 過去2年間に報酬を得る目的で、事業として外国人に関する相談業務への従事経験がある。
  3. 選任された支援責任者および支援担当者による外国人に対する生活相談業務への従事経験が、過去5年以内に2年以上ある。
  4. 上記のほか、これらと同程度の支援業務が適切に行えると認められている。
 

3. 過去1年間に責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていない。

4. 支援に要する費用を直接または間接的に外国人に負担させない。

5. 刑罰法令違反による罰則(過去5年間に出入国または労働に関する法令により罰せられたなど)を課されていない。

6. 過去5年間に出入国または労働に関する法令に関し著しく不正または不当な行為を行なっていない。

など

出典:特定技能外国人受入れに関する運用要領「出入国在留管理庁」

http://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf

 

登録支援機関に委託すれば安心

特定技能外国人の受け入れを検討する際、多くの採用担当者を悩ませるのが支援体制の整備や支援に係る業務です。

支援に伴うコストと工数の増加は、受け入れ機関(企業)にとっては負担となります。

しかし、そこで頼れるのが登録支援機関です。

登録支援機関は支援体制の整備、支援計画書作成から支援実施まで、すべての支援業務を代行してくれます。

登録支援機関の存在があることで、受け入れ機関(企業)も安心して外国人を雇用できるはずです。

外国人採用を成功させるためにも、登録支援機関についてはぜひ押さえておきましょう。