介護の人材不足を「特定技能」介護で解消する
2021年08月12日1,介護人材不足を解消する新たな方法
介護事業での人材不足を、外国人雇用による「特定技能」介護で利用して解消を目指します。
1-1:介護人材不足の現状
このような現状はないでしょうか?
- 欠員1~3名の状態が何年も続いている。
- 新規施設を開業しようと思ったが、新規職員が集まらない。
- 中堅職員やベテラン職員が定着しない。新人や派遣、パートが多い。
数字で見てみますと、2019年度の訪問介護の有効求人倍率が、15.03倍、1人の働き手に15件の求人がある割合です。
そして、2020年9月時点で、介護全体でも、3.82倍という有効求人倍率になっています。
ですから、人材不足を感じている事業者が多いのが現状です。
1-2:介護人材不足を解消する
ハローワーク、介護人材紹介、派遣、職員による紹介に報奨金をつける、求人サイトなど様々な手段を試されている中での人材不足となっているのではないでしょうか。
そのような厳しい状況ですが、新しい外国人採用制度、「特定技能」による人材不足解消が始まっており、新しい方向性を感じます。
2、特定技能とその他の受け入れ制度について
平成31年4月開始の「特定技能」という制度が整えられました。
その目的は、中・少規模事業者をはじめとした人手不足が深刻化しているため、一定の専門性・技能を持ち即戦力となる外国人を受け入れて行く仕組みとなっています。
2-1 特定技能「介護」とは
特定技能1号は、14産業が指定されており、介護も含まれています。
特定技能2号には、介護は該当されませんが、介護福祉士がこれに当たります。
特定技能「介護」の特定技能合格要件は、「介護技能評価試験」「日本語評価試験」「介護日本語評価試験」の3つです。
ですから、介護技能、日本語に関して高いレベルを持っています。
また、登録支援機関と呼ばれるサポートを受けることが可能なため、雇用する事業者が、外国人に関して必ずしもすべて手配やサポートをする必要はありません。
この制度は、現地の外国人だけでなく、日本に住んでいる留学生や他の制度で働いている外国人にも適用されます。
採用人数は、事業所の日本人等の常勤換算を上回らないことです。常勤で20名ならば、10名まで採用可能となります。
2-2:特定技能以外の受け入れ制度
特定技能以外にも、以前より行われている外国人に関する制度がありますので
3つご紹介します。
在留資格「介護」
専門的、技術的分野の外国人の受け入れる制度です。
介護福祉士の資格を持っていることが条件になっており、1番レベルが高く即戦力となります。
滞在年数に制限がなく、長く雇用することが可能です。
介護福祉士を持っているレベルですので、日本語の水準(日本語能力水準N2程度)は高いです。
家族(妻・子)の帯同可能ですので、働く外国人にとってもメリットがあります。
訪問介護も可能なため、介護全般の仕事が可能です。
EPA介護福祉士候補者
経済連携協定(EPA)により、インドネシア、ベトナム、フィリピンから、看護師や介護福祉士の資格取得を目指す候補者の受け入れを行っています。
看護師や介護福祉士の資格取得する目的を条件として、一定の要件を満たす病院や介護施設における就労や研修を認める制度です。
滞在期間は4年で、さらに1年延長可能です。
介護福祉士の試験に合格できないと帰国となります。
ですが、介護福祉士を取得できれば、在留資格として働くことができます。
また、4年の在留期間満了後に、特定技能に移行可能です。
ですから、そのような流れが増てくると考えられます。
就労前と就労後に、日本語の研修を受けるため、日本語能力は一定のレベル(日本語能力試験N3程度)を有しています。
国際厚生事業団で受け入れ調整等を行っています。
技能実習「介護」
日本の技能、技術又は知識の開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に貢献することを目的として創設された制度です。
最長5年の滞在が可能となっています。
技能実習2号(3年経過)又は技能実習3号(5年経過)後に、特定技能(5年)に移行可能です。
これにより、最長10年滞在可能となっています。
家族(妻・子供)の帯同は不可となっています。
一定水準の日本語能力(日本語能力試験N4)を持っています。
介護資格は必要ありませんが、介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更可能です。
監理団体による支援があります。
訪問系サービスをすることはできません。
条件付きで短い期間での現場配置や夜勤可能ですが、特定技能のほうが早く現場に配置できます。
2-3:特定技能のメリット
即戦力、常勤職員として、採用当初から配置可能なため人材不足を解消することができます。
また、夜勤、配置換えも可能なため、通常の職員としての人数に加えることができます。
さらには、新設の施設でも採用可能となっているため、新規施設で外国人介護士を揃えることも可能です。
日本人職員と同等の人数を採用することが可能ですので、職員が不足する問題の解消に繋がります。
3つの資格要件の試験があるため、介護福祉士を持つ在留資格「介護」の次にレベル高い職員を確保することができます。
以上のように、即戦力を揃えたい職場にとっては、特定技能「介護」の制度は有効に使えます。
逆にデメリットとしては、転職、退職することが可能なことです。
特定技能での転職は手続き時間がかかるためそう簡単ではありませんが、採用してもリスクは少なからずあります。
3,外国人スタッフの課題
外国人を採用するにあたり課題は2点あります。
1つ目は、サポートが必要ということ。
登録支援機関によるサポートもありますが、職場側でも面談や生活サポートは必要となってきます。
2つ目は、日本人と外国人の考え方や文化の違いです。
具体例としては、役職や立場による仕事の区分けははっきりしている、与えられた仕事以外はしないというようなことがあります。
日本人のように「察する」「空気を読む」「だいたい」というような感覚は理解しにくい場合があります。
また、自分の言いたいこと、主張ははっきり言う傾向にあります。
お年寄りと神社に初詣に行った時、「私はキリスト教ですから頭は下げません」というケースもあります。
このように、外国の習慣や文化を理解しておくと、お互いが働きやすいと考えます。
4,外国人スタッフを活用して新しい介護スタイルを
特定技能「介護」は、介護の知識のある外国人を新規・既存施設へ即現場に投入できることが最大のメリットです。
外国人にとっても、日本で働ける、介護の勉強ができる、日本人と同等の給与がもらえることはメリットとなります。
さらには、日本で介護の仕事を続けたい外国人の方にとっても、介護福祉士としての道があります。
外国人の介護福祉士として育て、現場の主力になってもらう。
または、複数の外国人の介護福祉士を配置した介護施設の未来。
介護分野の新しいスタイルを築き、介護現場の人材不足の解消の一つとして非常に有効な手段になることでしょう。
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