【2021年】外国人労働者雇用時の助成金一覧|コロナの影響への支援は?

2021年11月02日

外国人労働者の受け入れ企業の担当者の方々、実は外国人労働者受け入れ企業は助成金がもらえる可能性があることをご存知ですか?

もらえる助成金の数は年々増加してきており、特にコロナウイルスによる影響の支援の観点から、様々な助成金を受けることができる可能性があります。

本記事では、外国人労働者雇用時に受けられる助成金の種類や条件等について、詳しく見ていきましょう。

外国人労働者の雇用時は是非参考にしてみてください。

 

外国人労働者の受け入れ機関は助成金がもらえる

近年、日本では深刻な人材不足が問題となってきています。

そこで政府は、国内の人材不足解消の観点から、外国人人材を受け入れるための体制づくりの一環として、外国人労働者の受け入れ企業に対して助成金の支援を行なっているのです。

ここで注意しておきたいのが、助成金をもらったからといって目的も定めずに利用するのは良くありません。

助成金ごとに、しっかりと目的が定められていますので、その範囲内で助成金を利用するようにしましょう。

正しく活用すれば、大きな助けになることは間違いないです。

 

外国人労働者を雇用する際に利用できる助成金6つ

外国人労働者雇用時、以下の5つの助成金が利用できる場合があります。

  • 雇用調整助成金
  • 業務改善助成金
  • トライアル雇用助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

それぞれの条件や詳細等について詳しくみていきます。

 

●雇用調整助成金

出典:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

 

【概要】

雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって事業活動が縮小してしまった事業主に向け、従業員の雇用維持の目的で休業手当などの一部を助成する制度のことです。

 

【支給対象となる事業主】

新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。
1. 新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2. 最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)
※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。
3. 労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

参考:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

 

【助成額と支給限度日数】

出典:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

 

 

●業務改善助成金

 

【概要】

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。

生産性向上のための設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。

 

【支給対象となる事業主/条件】

1. 賃金引上計画を策定すること

 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)

2. 引上げ後の賃金額を支払うこと

3. 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと

 ( (1) 単なる経費削減のための経費、 (2) 職場環境を改善するための経費、 (3)通常の事業活動に伴う経費などは除きます。)

4. 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと など

その他、申請に当たって必要な書類があります。

 

【助成額と支給限度日数】

参考:業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援

 


●トライアル雇用助成金

 

【概要】

職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者(※)等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するものであり、それらの求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。

 ※厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出を行った無料職業紹介事業者、または無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)のうち、本奨励金に係る取扱いを行うに当たって、厚生労働省職業安定局長及び人材開発統括官の定める項目のいずれにも同意する旨の届出を労働局長に提出し、雇用関係助成金に係る取扱いを行う旨を示す標識の交付を受け、これを事業所内に掲げる職業紹介事業者

 

【支給対象となる事業主/条件】

受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。

(1)  対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のイ~ニのいずれにも該当しない者であること。

  イ 安定した職業に就いている者
  ロ 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者
  ハ 学校に在籍している者( 在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
  ニ トライアル雇用期間中の者

(2)  次のイ~ヘのいずれかに該当する者

  イ 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
  ロ 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
  ハ 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
  ニ 紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者
  ホ 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa~iまでのいずれかに該当する者

 a. 生活保護受給者
 b. 母子家庭の母等
 c. 父子家庭の父
 d. 日雇労働者
 e. 季節労働者
 f. 中国残留邦人等永住帰国者
 g. ホームレス
 h. 住居喪失不安定就労者
 i. 生活困窮者

(3)  ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること

(4)  原則3ヶ月のトライアル雇用をすること

(5)  1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること

 

 

【助成額と支給限度日数】

参考:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

 

 

キャリアアップ助成金

 

【概要】

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。

この助成金は次の7つのコースに分けられます。

1. 正社員化コース
2. 障害者正社員化コース
3. 賃金規定等改定コース
4. 賃金規定等共通化コース
5. 諸手当制度等共通化コース
6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
7. 短時間労働者労働時間延長コース
※コースの詳細については公式サイトをご覧ください。

 

【支給対象となる事業主/助成額と支給限度日数】

参考:キャリアアップ助成金 

 

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

 

【概要】

外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や、言語の違いなどから労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。

この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成するものです。

 

【支給対象となる事業主】

(1)外国人労働者を雇用する事業主であること

(2)認定を受けた就労環境整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置(1及び2の措置に加え、3~5のいずれかを選択)を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること

1.  雇用労務責任者の選任
2.  就業規則等の社内規程の多言語化
3.  苦情・相談体制の整備
4.  一時帰国のための休暇制度の整備
5.  社内マニュアル・標識類等の多言語化

(3)就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であること

 

【助成額と支給限度日数】

上記「対象となる事業主」が「対象となる措置」を実施した場合に、支給対象経費の合計額に助成率を乗じた下表の額が支給されます。

区分

支給額(上限額)

生産性要件(※)を
満たしていない場合

支給対象経費の1/2(上限額57万円)

生産性要件(※)を
満たす場合

支給対象経費の2/3(上限額72万円)

※生産要件に関してはこちらをご覧ください。※生産要件に関

 

【支給対象経費】

計画期間内に、事業主から外部の機関または専門家等(以下「外部機関等」という)に対して支払いが完了した以下の経費を対象とします。

(1)通訳費(外部機関等に委託をするものに限る)
(2)翻訳機器導入費(事業主が購入した雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器の導入に限り、10万円を上限とする)
(3)翻訳料(外部機関等に委託をするものに限り、社内マニュアル・標識類等を多言語で整備するのに要する経費を含む)
(4)弁護士、社会保険労務士等への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限る)
(5)社内標識類の設置・改修費(外部機関等に委託をする多言語の標識類に限る)
参考:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

 

新型コロナウイルスによる影響に対する受け入れ機関への支援は?

長期化する新型コロナウイルスによる影響により、多くの受け入れ機関が打撃を受けているという現状があります。

その現状に対応すべく、政府は外国人労働者の受け入れ機関に対して様々な助成金を出していることはご存知ですか?

以下で、その助成金の一部を見ていきましょう。

 

雇用調整助成金の特例措置の拡大

上記で紹介した雇用調整助成金ですが、新型コロナウイルス拡大の影響を受けて、以下のような対応をしています。

●アルバイト等、雇用保険被保険者でない労働者の休業への助成金支給対象の拡大
●休業等の上限額・助成率の引上げ(上限額は最大15,000円、助成率は最大100%)
●対象:感染症の影響を受ける事業主(中長期在留者等の外国人、外国人を雇用する者を含む。)

 

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金

●小学校等が臨時休業等した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者に有給休暇を取得させた事業主に対して、支払った賃金額の10/10を助成

※助成金の日額上限は1日あたり13,500円(ただし、申請する休暇の期間中に緊急事態宣言の対象区域又はまん延防止等重点措置を実施すべき区域に事業所のある企業については、日額上限は1日あたり15,000円)

●対象:次の①又は②の子供の世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主

①新型コロナウイルス感染症に関する対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等した小学校等に通う子ども
②新型コロナウイルスに感染した子ども等、小学校等を休むことが適当と認められる子ども

●対象期間:令和3年8月1日から同年12月31日の間に取得した有給の休暇分

 

両立支援等対応助成金(育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))

●小学校等の臨時休業等により子どもの世話をする労働者のために特別有給休暇制度及び両立支援制度を導入し、特別有給休暇を4時間以上利用した労働者が出た事業主を助成

労働者1人当たり5万円
1事業主につき10人まで(上限50万円)

●対象:新型コロナウイルス感染症への対応として、臨時休業等をした小学校等に通う子どもの世話を行う労働者が取得

できる特別有給休暇を規定し、小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援の仕組みを導入・社内周知し、労働者1人につき特別有給休暇を4時間以上取得させた事業主
※法定の年次有給休暇とは別の休暇制度であることが必要
※令和3年9月30日までの休暇が対象

 

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))

●介護のための有給の休暇制度を設け、仕事と介護の両立支援制度の内容を含めて社内に周知し、当該休暇を合計5日以上労働者に取得させた中小企業事業主に対して助成

労働者1人当たり
取得した休暇日数が合計5日以上10日未満 20万円
取得した休暇日数が合計10日以上 35万円
※1中小企業事業主当たり5人まで支給

●対象:新型コロナウイルス感染症への対応として利用できる介護のための有給の休暇制度を設け、当該制度を含めて仕事と介護の両立支援制度の内容を社内に周知し、労働者に当該休暇を取得させた中小企業事業主

※所定労働日の20日以上取得できる制度であることが必要
※法定の介護休業、介護休暇、年次有給休暇とは別の休暇制度であることが必要

 

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得に係る助成金

●新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師等の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度を整備し、一定の休暇を取得させた事業主に対して助成

●対象:事業主(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師等の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者に、有給(年次有給休暇で支払われる賃金相当額の6割以上)の休暇制度(年次有給休暇を除く)を整備し、社内に周知し、当該休暇を取得させた場合)
制度導入に係る助成:新たに制度を整備・周知し、5日以上の休暇取得者が出たとき 15万円(1回限り)
制度利用に係る助成:20日以上の休暇取得者が出たとき 28.5万円(5人まで)

 

外国人労働者を雇用するメリット3つ

外国人雇用には、以下のような3つのメリットが考えられます。

  • 人手不足解消と能力の高い人材雇用も可能
  • 外国人対応がしやすくなる
  • 様々な助成金を利用できる

以下でそれぞれ見ていきましょう。

 

●人手不足解消と能力の高い人材雇用も可能

外国人人材を雇用することで、慢性的な日本の人材不足に対応できるだけでなく、日本語試験や各種技能試験に合格した外国人人材を雇用できるため、企業の戦力を伸ばすこともできます。

 

外国人対応がしやすくなる

外国人人材を雇用すれば、とっさの外国人対応がしやすくなるでしょう。

ゆくゆくは海外への進出を考えている場合、外国人対応ができるというの必須の条件なので、自社内のリソースで対応できるような環境づくりを行う必要があります。

外国人人材を雇用しない場合、そのお客さんに合わせて自社内で内製化する必要があるため、大きなコストがかかるという問題点があります。

 

様々な助成金を利用できる

外国人人材を雇用すると、本記事で紹介したような様々な助成金が利用できるようになります。

特に現在はコロナウイルスによる影響で助成金の範囲や金額が拡大していますので、雇用の際の負担が比較的軽減されるでしょう。

 

助成金を賢く活用して外国人人材の雇用を!

外国人労働者の受け入れ企業は様々な助成金をもらえる可能性があることがわかりました。

特に現在は新型コロナウイルスによる影響もあって、政府が助成金の範囲や金額を拡大している時期でもありますので、この機会に外国人雇用を検討してみても良いでしょう。

本記事の内容を踏まえ、外国人労働者を雇用する際は利用できる助成金がないかしっかりと探し、効率的に外国人採用活動を進めることができれば良いですね。