特定技能における「登録支援機関」と「特定技能所属機関」の届出について詳しく解説
2021年08月12日特定技能外国人を受け入れる「特定技能所属機関」と、外国人の教育を支援する「登録支援機関」には、それぞれ義務付けられている届出が存在します。
しかし、初めて特定技能外国人を雇用する場合は何から手を付けて良いのかわからない場合が多いです。
そこで本記事では、その届出の書き方や報告等をいつ、どのようにして提出すれば良いのかを、特定技能所属機関と登録支援機関に分けてそれぞれ詳しくまとめました。
特定技能所属機関による届出
特定技能所属機関に義務付けられている届出の種類は
- 随時届出
- 定期届出
の2種類があります。
まずは随時届出の方から見ていきましょう。
随時届出
「特定技能所属機関」に義務付けられている随時届出は以下の5種類があります。
・特定技能雇用契約に係る届出
・支援計画変更に係る届出
・支援委託契約に係る届出
・受入れ困難に係る届出
・出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
届出の不履行や虚偽の届出は罰則の対象になるため必ず確認しておくようにしましょう。
特定技能雇用契約に係る届出
●手続き対象者/機関:特定技能雇用契約を変更,終了又は新たに締結した特定技能所属機関
●届出期間:上記の事由が生じた日から14日以内
●届出者:特定技能所属機関
●必要書類:届出書
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
下記(1)~(3)に共通の届出事項
- 届出に係る特定技能外国人の氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域,住居地及び在留カードの番号
(1) 特定技能雇用契約を変更した場合
ア 特定技能雇用契約を変更した年月日
イ 変更後の特定技能雇用契約の内容
(2) 特定技能雇用契約を終了した場合
ア 特定技能雇用契約を終了した年月日
イ 特定技能雇用契約の終了の事由
(3) 新たな特定技能雇用契約を締結した場合
ア 新たな特定技能雇用契約を締結した年月日
イ 新たな特定技能雇用契約の内容
【届出様式】
支援計画変更に係る届出
●手続き対象者/機関:1号特定技能外国人支援計画に変更が生じた特定技能所属機関
●届出期間:上記の事由が生じた日から14日以内
●届出者:特定技能所属機関
●必要書類:
- 届出書
- 変更内容を証明する資料(必要に応じて)
- 身分を証する文書等を提示
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
(1) 届出に係る特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カードの番号
(2) 1号特定技能外国人支援計画を変更した年月日
(3) 変更後の1号特定技能外国人支援計画の内容
【届出様式】
支援委託契約に係る届出
●手続き対象者/機関:支援委託契約を新たに締結,変更又は終了した特定技能所属機関
●届出期間:上記の事由が生じた日から14日以内
●届出者:特定技能所属機関
●必要書類:
- 届出書
- 新たに締結又は変更した契約内容を証明する資料(必要に応じて)
- 身分を証する文書等を提示
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
下記(1)~(3)に共通の届出事項:
- 届出に係る特定技能外国人の氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 住居地及び在留カードの番号
(1) 支援委託契約を新たに締結したとき
ア 支援委託契約を締結した年月日
イ 締結した契約の内容
(2) 支援委託契約を変更したとき
ア 支援委託契約を変更した年月日
イ 変更後の契約の内容
(3) 支援委託契約を終了したとき
ア 支援委託契約を終了した年月日
イ 終了の事由
【届出様式】
受入れ困難に係る届出
●手続き対象者/機関:経営上の都合や特定技能外国人の死亡,病気・怪我,行方不明,帰国等により,引き続き特定技能外国人を受け入れることが困難となった特定技能所属機関
●届出期間:上記の事由が発生した日から14日以内
●届出者:特定技能所属機関
●必要書類:
- 届出書
- 身分を証する文書等を提示
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
(1) 届出に係る特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カードの番号
(2) 受入れが困難となった事由並びにその発生時期及び原因
(3) 特定技能外国人の現状
(4) 特定技能外国人の活動継続のための措置
【届出様式】参考様式第3-4号【PDF】 【EXCEL】 【記載例】
出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出
●手続き対象者/機関:出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為があったことを知った特定技能所属機関
●届出期間:上記の事由が発生した日から14日以内
●届出者:特定技能所属機関
●必要書類:
- 届出書
- 身分を証する文書等を提示
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
(1) 届出に係る特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カードの番号
(2) 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生時期,認知時期及び当該行為への対応
(3) 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の内容
【届出様式】
定期届出
次に、定期届出が必要な書類について解説していきます。
定期提出が必要な届出は以下の3つです。
・支援実施状況に係る届出
・活動状況に関する届出
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
なお、以下の解説で出てくる「四半期」は次の期間を指します。
●第1四半期: 1月1日から3月31日まで
●第2四半期: 4月1日から6月30日まで
●第3四半期: 7月1日から9月30日まで
●第4四半期:10月1日から12月31日まで
受入れ状況に係る届出
●手続き対象者/機関:特定技能所属機関
●届出期間:四半期に1回,当該四半期の翌四半期の初日から14日以内
●届出者:特定技能所属期間
●必要書類:
- 届出書
- 身分を証する文書等を提示
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
- 届出の対象となる期間内に受け入れていた特定技能外国人の総数
- 届出に係る特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カードの番号
- 届出に係る特定技能外国人が特定技能の活動を行った日数,活動の場所及び従事した業務の内容
- 届出に係る特定技能外国人が派遣労働者等である場合,派遣先の氏名又は名称及び住所
【届出様式】
支援実施状況に係る届出
●手続き対象者/機関:1号特定技能外国人を受け入れている特定技能所属機関(契約により登録支援機関に適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託した場合を除く。)
●届出期間:四半期に1回,当該四半期の翌四半期の初日から14日以内
●届出者:特定技能所属機関
●必要書類:
- 届出書
- 身分を証する文書等を提示
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
適合1号特定技能外国人支援計画の実施の状況
【届出様式】
活動状況に関する届出
●手続き対象者/機関:特定技能所属機関
●届出期間:四半期に1回,当該四半期の翌四半期の初日から14日以内
●届出者:特定技能所属機関
●必要書類:
- 届出書
- 届出内容を証明する資料(必要に応じて)
- 身分を証する文書等を提示
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
- 特定技能外国人及び当該特定技能外国人の報酬を決定するに当たって比較対象者とした従業員に対する報酬の支払状況
- 所属する従業員の数,特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数,離職者数,行方不明者数及びそれらの日本人及び外国人の別
- 健康保険,厚生年金保険及び雇用保険に係る適用の状況並びに労働者災害補償保険の適用の手続に係る状況
- 特定技能外国人の安全衛生に関する状況
- 特定技能外国人の受入れに要した費用の額及びその内訳
【届出様式】
登録支援機関による届出
次に、登録支援期間による届出について見てきたいと思います。
登録支援機関による届出に関しても、随時届出る必要のある書類と定期的に届け出る必要がある書類があります。
以下でそれぞれに関して詳しく見ていきましょう。
随時届出
随時届出る必要があるものは以下の通りです。
・支援業務の休止又は廃止に係る届出
・支援業務の再開に係る届出
ひとつひとつ見ていきます。
登録事項変更に関する届出
●手続き対象者/機関:登録事項に変更が生じた登録支援機関
●届出期間:上記の事由が生じた日から14日以内
●届出者:登録支援機関
●必要書類:
- 変更内容を証明する資料
- 身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封)
●届出事項と届出様式:
【届出様式】
支援業務の休止又は廃止に係る届出
●手続き対象者/機関:
- 支援業務を休止又は廃止した登録支援機関
- 休止した支援業務を再開しようとする登録支援機関
●届出期間:
- (支援業務を休止又は廃止した場合)休止又は廃止した日から14日以内
- (休止した支援業務を再開しようとする場合)再開前
●届出者:登録支援機関
●必要書類:
- 届出書
- 身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封)
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
- 届出機関の情報(氏名又は名称,住所等)
- 休廃止又は再開をする旨
【届出様式】
(1)支援業務を休止又は廃止した場合
(2)休止した支援業務を再開しようとする場合
支援業務の再開に係る届出
●手続き対象者/機関:
- 支援業務を休止又は廃止した登録支援機関
- 休止した支援業務を再開しようとする登録支援機関
●届出期間:
- (支援業務を休止又は廃止した場合)休止又は廃止した日から14日以内
- (休止した支援業務を再開しようとする場合)再開前
●届出者:登録支援機関
●必要書類:
- 届出書
- 身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封)
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
- 届出機関の情報(氏名又は名称,住所等)
- 休廃止又は再開をする旨
【届出様式】
(1) 支援業務を休止又は廃止した場合
(2) 休止した支援業務を再開しようとする場合
定期届出
登録支援機関が定期的に届出る必要がある書類は1つだけです。
支援の実施状況に関する届出
●手続き対象者/機関:登録支援機関
●届出期間:四半期に1回,当該四半期の翌四半期の初日から14日以内
●届出者:登録支援機関
●必要書類:
- 届出書
- 身分を証する文書等を提示(郵送による場合は身分を証する文書等の写しを同封)
●届出事項と届出様式:
【届出事項】
- 特定技能外国人の氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地及び在留カード番号
- 特定技能所属機関の氏名又は名称及び住所
- 特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況(労働基準監督署への通報及び公共職業安定所への相談の状況を含む。)
- 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為の発生,特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況
【届出様式】
※対象期間中に支援を実施した1号特定技能外国人が複数名いる場合で,支援実施状況が同じである場合には,別紙の名簿を使用してください。
(参考)「生活オリエンテーション」の資料として生活オリエンテーションの確認書を添付する場合
生活オリエンテーションの確認書の参考様式第5-8号【PDF】 【WORD】
(参考)「相談内容及び対応結果」の資料として相談記録書を添付する場合
相談記録書の参考様式第5-4号【PDF】 【WORD】 【記載例】
(参考)「定期的な面談の実施」の資料として定期面談報告書を添付する場合
各届出の提出先
【インターネットによる場合】
出入国在留管理庁電子届出システムより届出を行うことができます。
【窓口に持参する場合】
特定技能所属機関の本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署
【郵送による場合】
身分を証する文書等の写しを同封、特定技能所属機関の本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署宛てに送付。
届出の内容をしっかり確認して外国人人材を適切に雇用しよう
本記事では、登録支援機関や特定技能所属機関として特定技能外国人を採用、教育するにあたって必要な届出について詳しくまとめてきました。
必要な届出をしっかりと行わずにそのまま不正に特定技能外国人を採用、教育している場合、罰則が下る可能性が高いです。
そうならないよう、しっかりと内容や必要事項を確認して届出を行う必要があります。
ぜひ本記事を参考に、過不足なくしっかりと届出を行っていただければと思います。
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