ベトナム人労働者急増の背景は?特徴や雇用の利点・注意点も詳しく解説
2021年09月29日最近では、外国人労働者を街中でもよく見かけるようになりましたが、その中でもベトナム人の割合が非常に高いことはご存知ですか?
最近では、日本におけるベトナム人労働者数が急増しており、日本の労働力不足の改善に貢献しています。
本記事では、そんなベトナム人労働者急増の背景や、雇用における利点や注意点等を解説していきます。
外国人労働者雇用の際のよくある質問についてもまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
日本ではベトナム人労働者数が急増している
現在の日本において、ベトナム人労働者の増加率は非常に目覚ましいものがあります。
以下でその増加率や労働者数、増加の裏に隠れている背景について見ていきましょう。
国籍別労働者数は1位
●国籍別の状況
令和2年の10月末における、国籍別に見た日本における外国人労働者数は以下の通りです。
【労働者数が多い上位3か国】
・ベトナム 443,998 人 (全体の 25.7%) 〔前年 401,326 人〕
・中国 419,431 人 (同 24.3%) 〔同 418,327 人〕
・フィリピン 184,750 人 (同 10.7%) 〔同 179,685 人〕
【増加率が高い上位3か国】
・ベトナム 443,998 人 [前年比 10.6%増] 〔前年 401,326 人〕
・ネパール 99,628 人 [同 8.6%増] 〔同 91,770 人〕
・インドネシア 53,395 人 [同 4.0%増] 〔同 51,337 人〕
参考:「外国人雇用状況」の届け出状況【概要版】(令和2年10月末現在)
引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和2年 10 月末現在)
国籍別にみるとベトナムが最も多く 443,998 人と外国人労働者数全体の25.7%を占めています。
次いで、中国 が419,431 人、フィリピン 184,750人と続いています。
またベトナムは、前年比で 42,672 人と急増しており、ネパールも7,858 人とベトナムに次ぐ増加率となっています。
一方、ブラジルは前年比で 4,343 人減少し、このほかペルーが500人減少しているのが分かります。
ベトナム人労働者が増えている理由
ベトナム人労働者の増加の背景には、日本における外国人労働者の受け入れ態勢の強化や留学生の受け入れの推進、ベトナム政策の労働政策の強化など様々な要因があります。
日本政府は近年、国内の労働者不足に対する政策を打ち出し、外国人労働者の受け入れを促進しています。
そのことが、ベトナムのみならず他国からの労働者が増加した一因となっているのです。
他にも、ベトナム政府は日本への人材の送出も積極的に行なっており、この送出の目標数も増加傾向にあるため、日本国内におけるベトナム人人材は急激に増えているのです。
ベトナム人の特徴は?
日本で急増しているベトナム人人材ですが、雇用するにあたってその国民性や特徴というのは非常に重要な要素となり得ます。
そのため、雇用する前にベトナム人の特徴について知る必要があるのです。
特徴として主にあげられるのは以下の5点です。
- 勤勉な人が多く向上心が高い傾向がある
- 第一外国語として日本語を学んでいる
- 器用な人が多い
- 目の前の目標に全力を尽くす
- 親日の方が多い
以下でそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
勤勉な人が多く向上心が高い傾向がある
ベトナム人には、比較的勤勉な方が多く、向上心が高い傾向にあります。
自分を磨くための努力を怠らない方が多く、仕事があったとしても夜間学校やオンラインのスクールで日々新しい知識やスキルを学んでいる方が多いのです。
第一外国語として日本語を学んでいる
実はベトナム国内では、第一外国語が日本語として設定されていることをご存知でしたか?
第一外国語が日本語という事もあり、他の国籍の外国人労働者に比べて、ベトナム人労働者は日本語や日本の文化に対する理解や意識が高く、比較的接しやすいのではないかと思います。
日本に対する積極性が国全体として高い傾向があるため、雇用の際の言語やコミュニケーションに関する障壁は多少軽減されることでしょう。
器用な人が多い
ベトナム人には器用な方が多いです。
というのも、粘土細工や刺繍、編み物などの作業の経験のある方が多く、中には自分でバイクなどの機械を直してしまう方もいます。
通勤にバイクを使っている方が多いこともあるかもしれませんが、日本では自分でバイクを直せるという方は少ないのではないでしょうか。
他にも、アジアのロボットコンテストなどでは常に上位に位置するなど、技術的な面でも非常に長けている方が多いです。
もし雇用できれば、即戦力となり得るでしょう。
目の前の目標に全力を尽くす
ベトナム人には、長期的な目標よりも、短期的な目標に向かって突き進むという方は多いです。
この理由として、長期にわたる不況に晒された経験が挙げられます。
長い目でみて自身に利益になるものよりも、短期的な報酬を求めた方が自分の生活を支えることができるという経験をもとに、目の前の目標に向かって努力し続ける方が多いです。
親日の方が多い
最後に、親日の方が多いという特徴が挙げられます。
これは、日本が受け入れ体制を強化していたり、第一外国語が日本語だったりすることが理由として挙げられます。
親日の方が多く日本の文化や習慣に対する理解が深いため、一緒に働いていて心地よいと感じるのではないでしょうか。
ベトナム人を雇用するメリット4つ
次に、ベトナム人労働者を雇用するメリットについて見ていきましょう。
メリットは以下の4つです。
- 日本に対する理解がある
- 真面目で勤勉な人材を雇用できる
- 目標に向かって仕事に取り組んでくれる
- 器用な人も多く仕事の飲み込みが早い傾向がある
それぞれ見ていきましょう。
日本に対する理解がある
まず1つ目のメリットとして、日本に対する理解があるということです。
先述のように、ベトナムでは第一外国語として日本語を学んでいる場合も多く、ベトナム国内でも日本への人材の送出を進んで行なっています。
そう言った背景もあってベトナム人の日本に対する理解は比較的進んでいるため、比較的すんなりと日本の生活に慣れていけるのではないでしょうか。
真面目で勤勉な人材を雇用できる
2つ目に、真面目で勤勉な人材を雇用できる可能性があるという点が挙げられます。
ベトナム人には先述のように、自身のスキル向上に対しては努力を惜しまない方が多いという傾向があります。
業務に対して真剣な姿勢で取り組んでくれる可能性も高く、雇用主にとってはプラス材料になる可能性が高いでしょう。
目標に向かって仕事に取り組んでくれる
3つ目に、目標に向かって仕事に取り組んでくれるというメリットがあります。
先述の通り、ベトナム人は短期的な目標を掲げ、それに向かって努力をする方が多い傾向があります。
無理に長期的な目標を立てるよりも、目の前の達成できそうな目標に向かって業務にあたってくれますので、しっかりと軸を持った人材の採用ができるでしょう。
器用な人も多く仕事の飲み込みが早い傾向がある
4つ目に、器用で仕事の飲み込みも早い傾向があるというメリットが挙げられます。
先ほども少し触れましたが、ベトナム人は故障した機械等を自分で修理することも珍しくなく、器用な方が多い傾向にあります。
仕事の飲み込みも比較的早く、教えた業務をしっかりとこなしてくれるでしょう。
ベトナム人を雇用する際の注意点4つ
ベトナム人を採用するにあたって注意すべき点がいくつかあります。
注意点は以下の通りです。
- 日本人よりも感情を表す傾向にある
- マニュアルなどの整備を行う必要がある
- 日本での生活面でのサポートが必要
- 行政に関する手続きもしっかりと行う必要がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日本人よりも感情を表す傾向にある
まず1点目に、日本人よりも感情を表す傾向にあるという点が挙げられます。
日本の国民性的に、ビジネスの場において感情をあらわにすることはタブーとされがちです。
しかし、ベトナム人は日本人よりも感情をあらわにする傾向があるため注意する必要があります。
特に、ベトナム人は自身のスキルや仕事ぶりに見合った報酬が妥当だと考えており、不当な低賃金などの問題に関しては怒りや反感、不信感を与えることに繋がりかねません。
せっかく一緒に働いているのですから、気持ちよく働いてもらいたいものですね。
マニュアルなどの整備を行う必要がある
これはベトナム人に限った話ではありませんが、雇用前にあらかじめマニュアルや教育環境などの体制をしっかりと整えておく必要があります。
第一外国語は日本語の場合も多いですが、言語の習得は個人差があるため、簡単なマニュアル作成を心がける必要もあります。
場合によっては、日本語教育の体制を整える必要もあります。
日本での生活面でのサポートが必要
日本での生活面でのサポートも雇用する上では重要な要素です。
業務に集中してもらうためには、日本での生活における不安や心配事をできるだけ取り除いてあげる必要があります。
具体的なサポート内容としては、記事下部のQ&A「Q3.ベトナム人労働者を受け入れるのに必要な要件は?」で紹介していますのでそちらをご覧ください。
行政に関する手続きもしっかりと行う必要がある
最後に、行政に関する手続きもしっかりと代行してあげる必要があります。
ベトナム人労働者は、日本に来て右も左も分からない状態の方が多く、高度な知識や日本語能力を要する行政手続きに関しては尚更です。
こちらに関しても、記事下部のQ&A「Q3.ベトナム人労働者を受け入れるのに必要な要件は?」で紹介しています。
手続きが面倒、または自社内でサポートのリソースが足りない方は、後の方で紹介する「登録支援機関」に業務委託してしまうのも一つの手です。
↓ 詳しくは以下のページで解説しています。↓
ベトナム人労働者を受け入れる際の5ステップ
さて、次にベトナム人労働者を雇用する際の5ステップについて見ていきます。
1.求人サービスで募集
2.雇用に際して自社内のリソース確認
3.応募者の応募資格を確認
4.出入国在留管理庁に就労ビザ変更申請
5.雇用
1.求人サービスで募集
まずは、ベトナム人労働者を探すべくハローワークや求人サイトなどで求人を出しましょう。
2.雇用に際して自社内のリソースが十分か確認
ベトナム人を雇用する際、様々な準備をする必要があります。
具体的には、
- 適切な労働条件の確保
- 安全衛生の確保
- 雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険の適用
- 解雇の予防及び再就職援助
が挙げられます。
自社内でこれらの環境を整える必要があるため、まずは雇用の前にこれらの環境が整っているかどうかの確認をしておくことが大切です。
3.応募者の応募資格を確認
ベトナム人に限らず、外国人を雇用する際には、本人の「就労ビザ」が不可欠です。
もし就労ビザを所持していない外国人を雇用した場合、不法就労になってしまうためこの確認は必須となります。
就労ビザにも様々な種類がありますが、就労後に必要なビザを確認した上で、本人の持っているビザが適切なものかどうかを判断しましょう。
4.出入国在留管理庁に就労ビザ変更申請を行う
もし就労後に必要なビザが所持しているビザと異なる場合、出入国在留管理庁に就労ビザの変更申請を行う義務があります。
このビザ変更にも様々な手続きや書類等が必要になるため、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
5.雇用
ビザの審査が通り次第、雇用開始となります。
登録支援機関の利用で手続きや教育の負担減も可能
さて、ベトナム人を雇用するにあたって様々な準備や手続きが必要なことがわかりました。
これらの作業を自社内で完結させようとすると、膨大な時間や費用などのコストがかかってしまいかねません。
そこで、「登録支援機関」の利用を検討してみても良いでしょう。
「登録支援機関」とは、特定技能所属機関(特定技能外国人の受け入れ企業)の代わりに特定技能外国人の教育や支援計画を策定、実施する機関のことです。
ここで注意点として、登録支援機関は主に、在留資格「特定技能」を持つ外国人人材を採用する際に利用できる機関となります。
↓ 在留資格「特定技能」に関する記事はこちらから ↓
登録支援機関を上手に活用することで、自社での負担を大幅に軽減できるため、自社内で可能な業務以外のものを登録支援機関に委託するなど、賢く外国人の採用活動を進めましょう。
「登録支援機関」などに関してよくある質問4つ
Q1.登録支援機関に委託可能な業務は何がある?
登録支援機関に委託可能な業務は以下の通りです。
1.事前ガイダンス
2.出入国の際の送迎業務
3.生活に必要な契約の支援
4.生活オリエンテーション
5.手続き時の同行
6.日本語学習における教育機会の提供
7.相談業務・苦情対応
8.日本人との交流機会の提供
9.転職支援
10.行政機関への公的届出提出・面談
↓ 詳しくは以下のページで解説しています。↓
Q2.登録支援機関の費用相場はいくらぐらい?
登録支援機関の費用相場は以下の通りです。
- 特定技能外国人支援の月額支援費用 … 10,000円~30,000円
- 登録支援期間の顧問基本料金 … 25,000円~55,000円
- 事前ガイダンス実施支援料金 … 30,000円~70,000円
- 生活オリエンテーション実施支援料金 … 55,000円~80,000円
↓ 詳しくは以下のページで解説しています。↓
Q3.ベトナム人労働者を受け入れるのに必要な要件は?
外国人労働者の雇用管理の改善等に関して、事業主が講ずべき措置は以下の通りです。
1.均等待遇
2.労働条件の明示
3.適正な労働時間の管理等
4.労働基準法関連法令の周知
●安全衛生の確保
1.安全衛生教育の実施
2.労働災害防止のための日本語教育等の実施
3.労働災害防止に関する標識・掲示等
4.労働安全衛生法等関係法令の周知
●雇用保険、労災保険、健康保険及び厚生年金保険の適用
1.制度の周知及び必要な手続きの履行
2.保険給付の請求等についての援助
●適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等
1.適切な人事管理
2.生活指導等
3.教育訓練の実施等
4.福利厚生施設
5.帰国及び在留資格の変更等の援助
6.労働者派遣または請負を行う事業主に係る留意事項
●解雇の予防及び再就職援助
引用:事業主の皆様へ「外国人を雇用する場合のルール」
Q4.ベトナム人労働者を受け入れる際に必要な届け出を確認したい
平成19年から、
- 当該外国人労働者の氏名
- 在留資格
- 在留期間等
に関する情報をハローワークへ届け出ることが義務付けられました。
上記の届け出は必ず行うようにしましょう。
もし届け出を怠った場合、30万円以下の罰金が課せられます。
参考:厚生労働省ホームページ
届け出の内容や様式は以下の通りです。
(1) 雇用保険の被保険者である外国人に係る届出
雇用保険の被保険者資格の取得届又は喪失届に、在留資格、在留期間、国籍・地域等を記載して届け出ることができます。
▶︎ 取得届
▶︎ 喪失届
(2) 雇用保険の被保険者ではない外国人に係る届出
届出様式(第3号様式)に、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域等を記載して届け出てください。
▶︎ 様式第3号電子媒体[PDF形式]
(3) 国・地方公共団体の場合
国・地方公共団体については、以下の区分に応じて対応してください。通知期限は取得届又は喪失届の提出期限と同様です。
(1) 雇用保険の被保険者である外国人に係る通知
・ 雇用保険の被保険者資格の取得届又は喪失届に、在留資格、在留期間、国籍・地域等を記載し通知することができます。
(2) 雇用保険の被保険者ではない外国人に係る通知
・ 通知様式(Excel形式, PDF形式) に、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域を記載して通知してください。
ベトナム人を採用して戦力アップを図ろう
今後人材不足が見込まれる日本において、ベトナム人労働者の増加は心強い援軍となることは間違い無いでしょう。
グローバル化社会へ適応していくという観点から見ても、様々な国籍の労働者を雇うことは人材不足の解消だけでなく、今後のビジネス拡大にも大きく貢献してくれる事でしょう。
この機会にぜひ、労働力のあり方やビジネス方針を見直し、ベトナム人含む外国人人材の採用を検討してみてはいかがでしょうか。
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