日本における外国人労働者の受け入れ割合は?問題点も詳しく解説

2021年09月26日

現在、日本でも大きな問題となっているのが、「労働力不足」です。

しかし、最近日本では外国人労働者の受け入れ体制を進めている側面もあり、これらの人材は日本の労働力不足の解消に大きく貢献しているのが現状です。

そこで本記事では、日本における外国人労働者の受け入れの割合や人数、受け入れを推進していくにあたって発生しうる問題点について触れていきます。

外国人労働者を採用しようと考えている際は、ぜひ参考にしてみてください。

 

外国人労働者とは?

外国人労働者」という言葉は一般的に、外国からきた労働者を受け入れる国側からの視点における呼称のことです。

ここで注意しておきたいのが、単に全ての外国から来た労働者を「外国人労働者」と呼んでいるのではなく、出稼ぎに来た外国人はここに含まれません

出稼ぎに来ている外国人は「移民労働者」と呼ばれることが一般的です。

 

外国人労働者の需要は高まってきている

先述のように、外国人労働者の需要はだんだんと高まってきている傾向にあります。

その背景には、日本における少子高齢化に伴う人手不足が大きな要因として存在しています。

2008年あたりに日本の人口はピークを迎え、その後は減少の一途を辿ることとなっています。

その一方で、人口に対する労働力人口は年々著しく減少しており、今後もさらに減少することが予想されています。

このような背景から、若くて知識のある外国人人材を採用しようとする動きが出始めているのです。

 

外国人労働者の区分

外国人労働者と一括りにしていましたが、実は外国人労働者には様々な区分が存在します。

その区分は以下の通りです。

  • 就労目的で在留が認められる者
  • 身分に基づき在留する者
  • 技能実習生
  • 特定活動
  • 資格外活動

なお、上記の区分ごとにおける就労人数は以下の通りです。

在留資格区分

人数

就労目的で在留が認められる者

277,000

身分に基づき在留する者

496,000

技能実習生

308,000

特定活動

36,000

資格外活動

34,4000

それぞれの区分について詳しく見ていきましょう。

 

就労目的で在留が認められる者

まず始めに、就労目的で在留が認められている外国人が挙げられます。

これは、いわゆる専門的、または技術的な分野における在留資格を指します。

この区分の外国人労働者は27.7万人存在します。

以下、専門的または技術的な分野の在留資格一覧です。

在留資格

具体例

教授

大学教授等

高度専門職

ポイント制による高度人材

経営・管理

企業等の経営者・管理者

法律・会計業務

弁護士、公認会計士等

医療

医師、歯科医師、看護師

研究

政府関係機関や私企業等の研究者

教育

中学校・高等学校等の語学教師等

技術 ・人文知識 ・国際業務

機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等

企業内転勤

外国の事業所からの転勤者

介護

介護福祉士

技能

外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等

参考:厚生労働省「日本で就労する外国人のカテゴリー(総数 146.0万人の内訳)

 

身分に基づき在留する者

二つ目に、「身分に基づき在留する者」という区分が存在します。

この区分の外国人労働者は一番多く、日本においては49.6万人存在しています。

この区分は主に「定住者、永住者、日本人の配偶者」などを指すことが多いです。

これらの在留資格の特徴として、在留中における活動に特別な制限が設けられていないため、日本人とほぼ同等の生活水準で生活することが可能です。

 

技能実習生

三つ目に、「技能実習生」が挙げられます。

技能実習生は主に、技術移転を通じた開発途上国への国際協力が目的とされています。

この区分の外国人労働者は30.8万人存在します。

平成22年に施行された「改正入管法」により、技能実習生が1年目からこの資格を付与されるようになったのがきっかけです。

 

特定活動

四つ目の「特定活動」とは、厚生労働省によると、「(EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者、ワーキングホリデー、外国人建設就労者、外国人造船就労者等)」であると定義されています。

この区分の外国人労働者は他の区分と比べると比較的少なく、3.6万人となっています。

参考:厚生労働省「日本で就労する外国人のカテゴリー(総数 146.0万人の内訳)

 

資格外活動

資格外活動とは、一般的に留学生のアルバイト等を指すことが多いです。

この区分の外国人労働者34.4万人存在します。

この資格を持って活動する外国人は、1週間28時間以内など本来の在留資格による活動を阻害しない程度であれば、報酬を受けるような活動が可能となります。

 

日本における外国人労働者数の統計と推移

次に、日本における外国人労働者数の統計や推移を見ていきましょう。

以下のような観点から詳しく解説していきます。

  • 在留外国人労働者数
  • 国籍・地域別
  • 在留資格別
  • 都道府県別

 

在留外国人労働者数

在留外国人の労働者数の推移は以下のようになります。

 

区分

人数

前年末 or 構成比

対前年末比

1

中長期在留者数

2,576,622

89.3%

↘️

2

特別永住者数

309,282

10.7%

↘️

3

在留外国人数(※1 + 2)

2,885,904

2,933,137

-1.6%

4

男女別(男性)

1,425,043

49.4%

↘️

5

男女別(女性)

1,460,861

50.6%

↘️

参考:出入国在留管理庁「令和2年6月末における在留外国人数について」

 

令和2年6月末現在における中長期在留者数は2,576,622人、特別永住者数は309,282人で,これらを合わせた在留外国人数は2,885,904人となりました。

その結果、前年末の2,933,137人に比べ,47,233人減少しました。

 

国籍・地域別

上位10か国・地域のうち、ベトナムが420,415(対前年末比8,447人(2.1%)増)となりましたが、他の9か国・地域ではいずれも対前年末比で減少となりました。

 

国籍・地域

人数

構成比

対前年末比

1

中国

786,830

27.3%

-3.3%

2

韓国

435,459

15.1%

-2.4%

3

ベトナム

420,415

14.6%

+2.1%

4

フィリピン

282,023

9.8%

-0.3%

5

ブラジル

211,178

7.3%

-0.2%

6

ネパール

95,367

3.3%

-1.5%

7

インドネシア

66,084

2.3%

-1.2%

8

台湾

59,934

2.1%

-7.5%

9

米国

57,214

2.0%

-3.3%

10

タイ

53,344

1.8%

-2.7%

参考:出入国在留管理庁「令和2年6月末における在留外国人数について」

 

在留資格別

在留資格別では,「永住者」が800,872人(対前年末比7,708人(1.0%)増)と最も多いことが分かります。

次いで,「技能実習」が402,442(同8,550人(2.1%)減)となり,「技術・人文知識・国際業務」が288,995人(同16,696人(6.2%)増)となっています。

「特別永住者」の地位をもって在留する者が309,282人(同3,219人(1.0%)減)と続いています。

 

在留資格

人数

構成比

対前年末比

1

永住者

800,872

27,8%

+1.0%

2

技能実習

402,422

13.9%

-2.1%

3

特別永住者

309,282

10.7%

-1.0%

4

技術・人文知識・国際業務

288,995

10.0%

+6.2%

5

留学

280,273

9.7%

-18.9%

参考:出入国在留管理庁「令和2年6月末における在留外国人数について」

 

都道府県別

在留外国人数が最も多いのは東京都の568,665人(対前年末比24,793人(4.2%)減)です。

東京の外国人労働者は、全国の19.7%を占め,以下,愛知県,大阪府,神奈川県,埼玉県と続いています。

全体的に見て、東京を筆頭に減少していますが微増している地域もあるようです。

 

都道府県

人数

構成比

対前年末比

1

東京都

568,665

19.7%

-4.2%

2

愛知県

276,282

9.6%

-1.7%

3

大阪府

253,303

8.8%

-1.0%

4

神奈川県

235,369

8.2%

+0.1%

5

埼玉県

196,537

6.8%

+0.3%

参考:出入国在留管理庁「令和2年6月末における在留外国人数について」

 

外国人労働者に関する問題点とは?

外国人労働者を確保する上で、様々なメリットがある反面、デメリットもあるのが現実です。

その問題点、デメリットは以下の通りです。

  • 不当な長時間労働
  • 低賃金での雇用・賃金の未払い
  • いじめ・ハラスメント
  • 経歴詐称による在留資格の悪用
  • 犯罪の多発

以下でそれぞれ詳しく見ていましょう。

 

不当な長時間労働

不当な長時間労働に関しては、外国人労働者に限った話ではありませんが、外国人に特に顕著に見られる問題点であると言えます。

理由として、外国人労働者とのコミュニケーションが取りづらいために意思の疎通が図れないことや、外国人労働者を使い捨ての労働力として働かせている場合があるからです。

このような問題が発生する背景には、外国人労働者が転職しづらいという問題も存在しています。

転職がしづらいために現在の職場で働き続けるしか選択肢がなく、結果として長時間労働を強いられているという現実があるのです。

 

低賃金での雇用・賃金の未払い

低賃金での雇用や賃金の未払いも非常に大きな問題となっています。

外国人ということもあり、各都道府県で定められた最低賃金を把握していないことをいいことに、最低賃金以下で働かせようとする店も少なからず存在します。

もし最低賃金以下で外国人労働者を働かせていた場合、その最低賃金以下で働かせ始めた時期からの差分をしっかりと支払う必要があります。

 

いじめ・ハラスメント

文化や環境の違い、他言語による双方のコミュニケーション不足などが理由で、外国人労働者がいじめやハラスメントの標的となってしまうこともあります。

飲食店などの外国人労働者が多いような職場で特に目立つこの問題ですが、人材の国籍が多岐に及ぶ場合、外国人労働者だけでなく、日本人の労働者にも理解を促すような教育をする必要があるのです。

 

経歴詐称による在留資格の悪用

日本の就労ビザの取得難易度というのは、世界的に見ても比較的基準が厳しいです。

そのような背景もあり、法律の穴を狙って不正に就労ビザを取得する外国人もいるのが現状です。

もちろんこれは違法行為であり、移住先の治安が悪化するケースもあるので、外国人人材を雇う側にも注意が必要なのです。

 

犯罪の多発

外国人労働者の中には、善悪の基準やモラルの価値観などが日本人と異なる場合も多いです。

そういった価値観の違いから、犯罪にまで発展してしまうケースがたまにあります。

しかし、外国人だからといって犯罪が多いかというと、そういうわけでもなく、実際の検挙率は総検挙数の50分の1ほどの割合というのが現実です。

生まれた地域やその文化背景などの事実も踏まえつつ、トラブルの火種を作らないような職場づくりが大切なのです。

 

問題の解決策は?登録支援機関を利用する手も

さて、上記で挙げてきた問題点の解決策の一つとして、「登録支援機関」を利用するという方法が挙げられます。

登録支援機関とは、外国人人材を採用する際の煩雑な手続きや義務的な支援等を一貫して行ってくれる機関のことです。

しっかりとした法律に関する知識やノウハウを用いて適切に外国人人材を雇用することが可能になります。

自身の会社内のリソースを用いて外国人人材を雇用しようとする場合、教育などの受け入れ体制を整える必要があり、膨大なリソースを費やすことになります。

もし外国人人材を適切な環境で雇用したいと考える場合、登録支援機関の利用を検討してみるのも良いでしょう。

 

登録支援機関に関する記事はこちらから ↓

特定技能における「登録支援機関」とは?申請方法や選び方など徹底解説

 

外国人労働者の現状を知り適切な判断を

外国人人材を雇用するということは、労働力不足の解消を見込めるに同時に、手続きや適切な育成環境、トラブルの発生などのデメリットを抱えています。

しかし、この少子高齢化が異常なスピードで進んでいるこの日本で、外国人人材は非常に強力な助っ人となり得ます。

そのためには、自社内のリソースを利用するか登録支援機関等を利用して、適切な労働環境を外国人に提供していく必要があるのです。

本記事をご覧の皆さんもぜひ、この機会に外国人人材の採用を検討してみてはいかがでしょうか。