【2021年】外食業で特定技能外国人を採用する際の条件や申し込み方法
2021年08月12日今日、外食産業の人手不足は深刻であり、新型コロナウイルスの影響もあって不足人数は2023年に29万人にも登ると言われています。
人手不足の解決策として、現在政府は「特定技能外国人」の受け入れ体制を強化しています。
しかし、特定技能外国人を採用するためには様々な手続きを行い、その後も教育を施す義務があるため、初めてで分からないことも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、外食業における特定技能外国人の採用方法やその条件などをご紹介していきます。
特定技能における「外食」とは
近年では、各産業における人材不足が深刻化しています。
外食産業もその中の一つであり、AIによる機械化対応が難しいため、人材不足に陥っているのが現状です。
そこで現在政府は特定技能「外食」という制度を設け、外食産業における人手不足を解消しようとしています。
最近ではコロナウイルスによる影響で来日人数は減りましたが、訪日外国人に対する接客の際にアドバンテージを得られることも、外食産業における特定技能外国人を使用するメリットの一つとなっており、外国人採用を取り入れている外食業も増えてきています。
特定技能「外食」が可能な業務内容
特定技能「外食」が可能な業務内容は以下の通りです。
(※違いが分かりやすいように技能実習と比較しています)
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上記の表からわかるように、基本的に特定技能外国人は外食業における仕事を全般こなすことが可能であることがわかります。
特定技能においては、業務上の制限はほとんどありません(日本人とほぼ同等の作業をこなすことが可能)。
以下のように、法務省と農林水産省も「分野別運用要領」にて特定技能外国人が可能な業務について触れています。
(1)1号特定技能外国人が従事する業務
外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
〇外食業分野においては、外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)に従事する者を受け入れることとしていることから、1号特定技能外国人は、試験等で立証された能力を用いてこれらの業務に幅広く従事する必要があります。ただし、職場の状況に応じて、例えば、許可された在留期間全体の一部の期間において調理担当に配置されるなど、特定の業務にのみ従事することも差し支えありません。〇また、分野別運用要領に記載するとおり、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。
法務省「 特定技能外国人受入れに関する運用要領 (外食業分野) 」
特定技能「外食」の取得条件
外食業界において、特定技能の受け入れを認めているのは特定技能1号のみであり、現在特定技能2号は受け入れていないのが現状です。
特定技能「外食」の取得条件は以下の通りです。
・18歳以上(性別不問)
・日本語能力試験に合格済み
・技能水準試験に合格済み
今後、外食産業が在留資格「特定技能2号」の対象になれば、特定技能1号の通算滞在年数5年に限定されることなく雇用することが可能となるでしょう。
特定技能「外食」に必要な申請書類
特定技能「外食」において、提出必須の書類は以下の通りです。
・在留資格認定証明書交付申請書 / 在留資格変更許可申請書
・特定技能外国人の報酬に関する説明書
・特定技能雇用契約書の写し
・雇用条件書の写し
・事前ガイダンスの確認書
・支払費用の同意書及び費用明細書
・徴収費用の説明書
・特定技能外国人の履歴書
・健康診断個人票
・特定技能所属機関概要書
・雇用の経緯に係る説明書
・登記事項証明書
・役員の住民票の写し(本籍あり、マイナンバーなし)
・特定技能所属機関の役員に関する誓約書
・決算文書の写し(損益計算表及び貸借対照表又は収 支計算書)(直近2年分)
・法人税の確定申告書の控えの写し(直近2年分)
・労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
・領収証書の写し(直近1年分)、労働保険概算・増加概算・確定保険
・申告書(事業主控)の写し(領収証書に対応する分)
・職業紹介事業所に関する「人材サービス総合サイト」(厚生労働省職安定局ホームページ)の画面を印刷したもの
・社会保険料納入状況照会回答票
・税目を源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税とする納税証明書
・税目を法人住民税とする納税証明書(前年度)
・1号特定技能外国人支援計画書
・特定技能外国人受入れに関する運用要領(別冊(分野別))に記載された確認対象の書類(誓約書等)
・その他の実績を証明する場合
・四季報又は主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書の写し
・直近年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
・支援責任者の就任承諾書及び誓約書
・支援責任者の履歴書
・支援担当者の就任承諾書及び誓約書
・支援担当者の履歴書
※必要書類は、「出入国在留管理庁 特定技能運用要領」から確認、ダウンロードすることが可能です。
特定技能所属機関が注意すべきこと
外食産業において特定技能外国人として人材の雇用を行う場合、以下の点に注意しておく必要があります。
・食品産業特定技能協議会の加入
・接待飲食業での就労禁止
・接待行為の禁止
・報酬の同等化
以下でそれぞれ詳しくみていきましょう。
食品産業特定技能協議会の加入
まず、特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関は食品産業特定技能協議会の加入が義務化されています。
食品産業特定技能協議会は、2019年に「飲食料品製造業及び外食分野における制度の適切な運用を図る」ことを目的として設置された機関です。
特定技能外国人を初めて受け入れてから4ヶ月以内に申請を出す必要があり、加入しない場合は原則特定技能外国人の受け入れができません。
基本的に、申請前でも特定技能外国人の受け入れはできますが、未加入の場合は受け入れ日から4ヶ月以内に加入する義務があります。
加入には費用がかからないので、必ず加入しておくようにしましょう。
以下のURLから食品産業特定技能協議会への加入の申請が可能です。
URL:農林水産省 食品産業特定技能協議会 加入申請フォーム(特定技能所属機関)
接待飲食業での就労禁止
特定技能のビザを所持する外国人を採用する際、接待飲食等営業で就労するのは禁止されています。
風俗営業法によって定められているもので、外国人労働者を不当な低賃金で雇うことを防ぐ目的でこの法律が設置されました。
ここで注意したいのは、直接接待に関わっていなくてもその営業に携わっているだけでも法律違反となりますので、注意しておきましょう。
接待行為の禁止
接待飲食等営業だけでなく、通常の外食産業においても接待行為は禁止されています。
例として、通常の喫茶店やカフェなどでもバーがある場合は、お酒をグラスに注ぐなどの行為が禁止されています。
報酬の同等化
外食産業において特定技能外国人として人材の雇用を行う場合、日本人労働者と同じ報酬を渡す必要があります。
かねてより問題になっていた「外国人労働者の賃金の不当性」の問題ですが、政府はその問題を解決するために現在ではしっかりと対策を講じているのです。
能力が同等であれば日本人、外国人関係なく同じ給料を受け取ることができます。
ちなみに、給料の振り込みは銀行口座の利用が義務となっているため、覚えておくようにしましょう。
特定技能試験の試験内容
次に、特定技能試験の内容について解説していきます。
特定技能試験は、
●衛生管理に関する知識
●接客全般に関する知識
●調理に関する知識
の主に3つの内容に分けられ、実技と学科試験に分かれています。
試験時間は学科試験と実技試験を合わせて80分で実施されます。
なお、合格基準点は全体の65%以上の得点率が目安となります。
以下、それぞれ解説していきます。
衛生管理に関する知識
衛生管理に関する知識は以下の内容が問われます。
- 一般衛生管理に関する知識
- HACCPに関する知識
- 食中毒に関する知識 など
問題数は学科試験10問、実技試験5問でそれぞれ配点は40点ずつです。
接客全般に関する知識
特定技能試験では、接客全般に関する知識も問われます。
試験で問われる内容は以下の通りです。
・接客サービスに関する知識
・食の多様化に関する知識
・クレーム対応に関する知識
問題数は学科試験10問、実技試験5問で配点はそれぞれ30点ずつです。
調理に関する知識
調理の知識に関しては、以下の内容が問われます。
・調理に関する知識
・食材に関する知識
・調理機器に関する知識
問題数は学科試験10問、実技試験5問で配点はそれぞれ30点です。
試験の申し込み方法・試験日程
外食業における特定技能試験は、試験受験前に一般社団法人外国人食品産業技能評価機構の公式サイトから、マイページの登録が必要となりました。
マイページの登録に関しては以下のサイトから登録、詳細を確認可能です。
試験の申し込み、試験日程は以下のURLから確認可能です。
【申し込み】
https://otaff1.jp/img/file/mypage_guide.pdf
【試験日程】
・国内 … https://otaff1.jp/gaisyoku/
・国外 … https://otaff1.jp/gaisyoku/?c=kokugai
学習におすすめのテキスト
一般財団法人日本フードサービス協会が、特定技能試験の勉強用のテキストを無料で公開いてくれていますので、こちらを利用して勉強してもらうのが良いでしょう。
テキストは日本語版、英語版、ベトナム語版、ミャンマー語版、クメール語版の5カ国後分用意されています。
以下、そのテキストのURLです(ダウンロードは全て無料です)。
【日本語版】
・接客全般 … 資料ダウンロード
・飲食物調理 … 資料ダウンロード
・衛生管理 … 資料ダウンロード
【英語版】
・接客全般 … 資料ダウンロード
・飲食物調理 … 資料ダウンロード
てん衛生管理 … 資料ダウンロード
【ベトナム語版】
・接客全般 … 資料ダウンロード
・飲食物調理 … 資料ダウンロード
・衛生管理 … 資料ダウンロード
【ミャンマー語版】
・接客全般 … 資料ダウンロード
・飲食物調理 … 資料ダウンロード
・衛生管理 … 資料ダウンロード
【クメール語版】
特定技能人材を採用して人材不足を解決
特定技能人材を採用する際、様々なことに気をつけながら採用活動を進める必要があることがわかりました。
本記事で解説した内容を活かして、自社内で内製化するのもいいかもしれませんが、そこには膨大な資料の作成や教育、指導計画の策定など自社内でなかなかリソースを割けない場合があります。
その場合は、「登録支援機関」に業務委託して特定技能外国人採用の際の大変な作業を外注してみても良いでしょう。
特に時間的リソースが割けない場合や、その外国人の言語に対応できる人材がいない場合にとても重宝します。
いずれにせよ、自社にあった方法で人材育成を心がけることが重要です。
この機会にぜひ、特定技能人材を採用してグローバル化が求められる社会に適応できる人材を育ててみてはいかがでしょうか。
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