新たな在留資格「特定技能」とはどのような資格なのか?特徴や雇用のメリットについて徹底解説!
2021年08月12日特定技能制度というのは、2019年4月より施行された新しい在留資格のことを指します。
従来の日本では専門技術や高度な経験を持つ外国人しか労働力として受け入れることが出来ませんでしたが、特定技能制度が施行されたことによって、様々な産業やサービス事業などでも雇用することが可能になりました。
本記事では、特定技能制度の特徴や、企業が雇用するメリットなどについて詳しく紹介していきます。
特定技能とは、どのような制度なのか?
特定技能制度は、冒頭でも紹介したように2019年の4月から新たに設けられた制度となっていて、主な目的としては「人手不足として認められる業界」での外国人の受け入れが解禁されることです。
従来の在留資格では「専門的な技術を有している」または「高度な実務経験を持つ」などの条件が無ければ外国人を雇用することが出来ませんでした。
しかし、特定技能制度によって外国人の受け入れが以前よりも容易となるため、企業としては労働力を確保するチャンスとなります。
こちらでは、特定技能制度とはどのような制度なのかということについて詳しく紹介していきます。
特定技能資格者の受け入れ人数や従事できる業種について
まずは特定技能資格者を雇用することが出来る業種と、業種ごとの受け入れ見込み人数について紹介します。
特定技能資格者を受け入れられる業種は14種類に限定されていて、日本政府が想定している受け入れ見込み人数についても下記のとおりです。
- 介護=60,000人
- ビルクリーニング=37,000人
- 素形材産業=21,500人
- 産業機械製造業=5,250人
- 電気、電子情報関連産業=4,700人
- 建設業=40,000人
- 造船、船用業=13,000人
- 自動車整備業=7,000人
- 航空業=2,200人
- 宿泊業=22,000人
- 農業=36,500人
- 漁業=9,000人
- 飲食料品製造業=34,000人
- 外食業=53,000人
このようになっていて、初年度の受け入れ見込み人数は合計で約47,000人を予定していましたが、特定技能制度を施行してから1年間での受け入れ人数は4,000人を下回っています。
近年では新型コロナウイルスの問題もあって受け入れ数を増やすのは難しいかもしれませんが、日本政府が想定していた人数よりも下回っていたということは覚えておいてください。
特定技能資格の1号と2号の違いについて
在留資格の特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」という資格の2つが存在します。
この2つの資格の大きな違いについては、「働ける業種」と「日本に在留できる年数」の2点が挙げられます。
特定技能1号の在留期間は通算で5年間となっていて、他の在留資格が無い場合は5年を超えて日本に留まることは出来ません。
特定技能2号の場合は、1号と同じく通算5年間となっていますが、こちらは更新が可能で、更新回数に制限も設けられていませんので、実質的には日本の永住者になることも可能です。
次に、働ける業種についてですが、1号の場合は上記で紹介した14個の業種全てで働くことが出来ます。
しかし、2号の場合は「建設業」と「造船・船用工業」の2職種のみに限定されているので、その点に関しては注意が必要です。
また、もう1点異なるポイントとしては、特定技能2号の場合は家族の帯同が認められていて、祖国から家族を呼び寄せることが出来ます。
1号の場合は家族の帯同が認められていませんので注意してください。
企業側が特定技能資格者を雇用するメリットとは?
こちらでは、企業側が特定技能資格者を雇用するメリットについて紹介します。
特定技能資格者は2号資格ではない限り、5年間で帰国してしまうというデメリットがありますが、このようなデメリットを考えても雇用するメリットはあります。
人材不足を緩和し、終身社員として雇用することも可能
特定技能資格者を雇用するメリットの1つ目は、どの業種でも当てはまることですが「人材不足の緩和」です。
2021年現在、多くの業種が人手不足に頭を抱えています。
特に、特定技能制度で定められている14個の職種は人手不足が顕著に表れている業界なので、即戦力で若年層の労働者を雇用できるというのは企業側にとって大きなメリットとなります。
また、建設業と船用業に関しては1号資格の期間が終了すると2号資格へステップアップして終身社員として雇用することも可能です。
若年層の労働力が少なくて、今後の先行きが不安だと考えている経営者の方は、特定技能資格者の雇用を検討してみても良いのではないでしょうか。
現地に詳しい人材の派遣も可能
近年ではグローバル社会ということもあり、日本を離れて海外に支店や拠点を構える経営者の方は多くなっています。
当然のことながら日本と海外の現地では言葉も風習も文化も異なるので、それらを一から考えて理想の条件を探すのは非常に難しいことです。
しかし、特定技能資格者を雇用していて、現地の文化や風習について詳しい人ならその人を雇用することによって現地の下調べを同時に行うことが出来ます。
また、特定技能資格者自身が優秀な社員だった場合は、現地の店舗を任せることも出来るでしょう。
そうすれば、特定技能1号の期間が満了になったとしても、現地採用ということで、その店舗を任せることも可能です。
このように現在の仕事で海外進出を考えている企業の経営者にとって、特定技能資格者を雇用するというのは色々なメリットを生み出すことになります。
まとめ
今回は2019年より施行された「特定技能制度」とはどのような資格なのかということについて詳しく紹介しました。
日本人の多くは外国の文化を取り入れながらも、どこか閉鎖的な考えを持っている人が多いために、外国人を積極的に採用しないという経営者の方も多いです。
しかし、特定技能制度によって外国人の雇用が緩和された現在では、特定技能資格者を雇用することは経営者にとってもメリットが沢山あります。
特に、人手不足で常に頭を抱えている企業の経営者にとっては救いの手となることも十分に考えられますので、まずは検討してみることから始めると良いのではないでしょうか。
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