特定技能を徹底解説 | 外国人採用を進めるための基礎知識
2021年08月12日「特定技能」とは、2019年4月に新設された在留資格の1つです。
日本では少子高齢化の影響により、多くの企業が人材不足に悩んでいます。
国内のみでの人材獲得が年々難しくなっている中、日本の産業を支える担い手として注目されているのが外国人労働者です。
特に人手不足の14業種で外国人労働者を積極的に活用することが、日本の成長を支える事に繋がります。
そこで本記事では、「特定技能」についての基礎知識を徹底解説していきます。
特定技能の概要
「特定技能」の在留資格は、労働力不足を解消する手段の1つとして新設されています。
以前は、外国人労働者による単純労働は認められていませんでした。
労働力不足の問題解決は、企業努力による生産性向上と国内人材の確保に頼るところが大きかったのです。
しかし、日本の人口及び生産年齢人口が減り続けている中、もはや企業努力だけでは労働力不足を補えない状況に直面しています。
下図は経済産業省が2018年に発表した「日本の将来人口の予測」です。
人口減少とともに、生産年齢人口の減少が加速していくと予想されています。
この予測を受け、政府は日本経済の成長を持続させるため、単純労働を含む業種においても外国人労働者の受け入れ解禁に踏み切ったのです。
出典:2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について「経済産業省」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/001_04_00.pdf
特定技能で就労可能な14業種
「特定技能」が在留資格として新設されてからは、「特定産業分野」における外国人労働者の就労が可能となりました。特定分野の定義は次の通りです。
特定産業分野の定義
出典:特定技能外国人受入れに関する運用要領「出入国在留管理庁」http://www.moj.go.jp/content/001315380.pdf |
特定産業分野14業種
特定産業分野として指定されている業種は次の14分野です。
雇用形態は原則として正社員となります。
ただし、農業と漁業においては繁忙期や閑散期が、季節や地域の違いで影響を受けるため、派遣での受け入れも認められています。
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出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
特定技能は1号と2号に分類される
「特定技能」の在留資格は1号と2号に分類されます。
「特定産業分野」での就労を希望する外国人労働者は、まず「特定技能1号」を取得しなければなりません。
「特定技能2号」は「特定技能1号」を修了した外国人労働者が希望する場合のみ移行可能です。
ただし、「特定技能1号」では14業種で就労可能ですが、「特定技能2号」では「造船・舶用工業」と「建設業」以外での就労は許可されていません。
「特定技能1号」と「特定技能2号」の違い
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出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
「特定技能1号」での在留期間が最長5年なのに対し、「特定技能2号」では上限がありません。
要件を満たしている限り、実質的に永住も可能となります。
そのため、家族の帯同も条件付きで認められ、日本で生活の基盤を築くことができるでしょう。
特定技能測定試験
「特定技能」の在留資格を得るには「特定技能測定試験」に合格する必要があります。
「特定技能測定試験」には「技能試験」と「日本語能力試験」の2種類があり、それぞれの基準を満たさねばなりません。
技能試験で求められる技能水準:
従事する分野における必要な知識や経験を相当程度有していること。
日本語能力試験で求められる日本語レベル:
日常生活や業務で必要とされる程度の日本語力を有していること。
特定技能と技能実習の違い
在留資格には多くの種類があり、分かりにくいとの声も聞かれます。
特に「特定技能」と「技能実習」を混同する人は少なくありません。
ここでは、「特定技能」と「技能実習」の違いを見てみましょう。
技能実習
「技能実習」は「発展途上国への技能移転」を目的として創設されました。
基本理念は「国際協力の推進」です。受け入れ人数は上限が設けられ、転職は原則認められていません。
特定技能
「特定技能」は人手不足が深刻な「特定産業分野」を支える外国人労働者を受け入れる制度です。
同一業種での転職が認められ、「介護」と「建設」以外の分野では受け入れ人数が無制限となっています。
出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
特定技能の受け入れ機関について
「特定技能」制度では、外国人労働者を雇用する企業を「受け入れ機関」と呼びます。
外国人労働者が所属可能なのは1つの機関のみです。
「受け入れ機関」には、受け入れるための基準や義務が次の通り定められています。
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出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
特定技能の登録支援機関について
「登録支援機関」とは、「特定技能」外国人労働者の受け入れに伴う「支援計画作成」や「支援業務」を委託される外部機関です。
受け入れ時の様々な手続きが負担となる企業は、「登録支援機関」を活用すれば負担が軽減できます。
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出典:在留資格「特定技能」について「出入国在留管理庁」
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
特定技能制度を活用し外国人採用を成功させよう
少子高齢化により加速する日本の労働人口減少は、多くの産業で深刻な人手不足をもたらしています。
採用に携わる立場にある人は、もはや国内人材のみに固執すべきではありません。
特定産業分野14業種における外国人就労の解禁は、人手不足に悩む多くの企業に新たな道を示しました。
今後も外国人労働者の受け入れは拡大していくでしょう。
外国人採用に携わるなら「特定技能」を理解しておく必要があります。
そして、「特定技能」制度を積極的に活用し、外国人採用を成功に導きましょう。
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