在留資格「特定技能」とは?主な概要とメリットやデメリットを解説
2021年08月12日在留資格である「特定技能」はどのような資格なのでしょう。
特定技能は2019年より人手不足が深刻な業界で、新たに外国人材受け入れをするために設定された在留資格です。
この記事では、特定技能の詳しい概要、メリット、デメリットを説明します。
特定技能とは
まずは、特定技能はどのような資格なのかを説明します。
特定技能1号・2号
特定技能では1号と2号の2種類があります。
1号を持つ外国人を「1号特定技能外国人」と呼びますが、1号は特定の産業分野に関する一定の知識とスキルを持つ業務に従事している在留資格です。
1号では知識とスキルが求められますが、日本で働き始める際に、育成や訓練を受けずに仕事が始められるようにして欲しいからです。
特定技能1号の在留期間は1年・6ヶ月・4ヶ月ごとに更新し、上限は5年までです。
技能水準は、従事する産業分野の業務区分に対する試験を受けて決められます。
また、必要な日本語能力は試験などで確認するのが主です。
生活においては、家族の帯同は基本的に認められておらず、転職をする場合は、業務区分間でできます。
特定技能2号は「2号特定技能外国人」と呼ばれ、従事する産業分野に関する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
特定技能2号の在留期間は3年・1年・6ヶ月ごとの更新となっており、上限はありません。
在留期間は条件を満たせば永住申請もできます。
技能水準は、従事する業務分野の試験で測られ、日本語能力は不要です。
家族の帯同は要件を満たせば配偶者や子供と住むことが可能でき、転職は同じ業務分野であればできます。
主な在留資格
特定技能の在留資格は、先ほど説明したように、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つです。
特定技能1号は、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」で、特定技能2号は、「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」となっています。
受け入れ業種と人数
特定技能の受け入れは14種で、それぞれ人数は違います。
- 介護業 60,000人
- ビルクリーニング業 37,000人
- 素形材産業 21,500人
- 産業機械製造業 5,250人
- 電気・電子情報関連産業 4,700人
- 建設業 40,000人
- 造船・舶用業 13,000人
- 自動車整備業 7,000人
- 航空業 2,200人
- 宿泊業 22,000人
- 農業 36,500人
- 漁業 9,000人
- 飲食料品製造業 34,000人
- 外食業 53,000人
特定技能の合計受け入れ人数は、約34万人となっています。
特定技能外国人の雇用形態
特定業務の雇用形態は、1号は正社員(フルタイム勤務)での直接雇用です。
また、2号も同じように、正社員で直接雇用となっています。
特定技能のメリット
特定技能のメリットは3つあります。
以下で詳しく説明していきます。
人材不足の緩和
特定技能のメリットは、人材不足の緩和です。
日本は少子高齢化社会であるため、雇える人材が不足しています。
その点、特定技能は在留資格は、即戦力のある人材を確保できるため、日本の産業を支えてくれるのです。
また、特定技能を持った外国人は、試験に合格していればすぐに入国でき、即戦力として雇えます。
他の技能実習生は入国の認可を取るまでに6〜7ヶ月かかりますが、特定技能を持つ外人はすぐに入国できるのがメリットです。
若年層の労働力を確保
日本は少子高齢化社会のため、若年層が減って高齢者が増えています。
即戦力となるような若い人材を雇うことができないことが課題の1つです。
特定技能を持つ外国人は若い人材が多く、日本で足りていない若年層を雇えます。
海外進出への可能性
企業に優秀な外国人がいると、多様化が進みます。
また、外国人の母国語を使って海外の企業と交渉したり、コミニュケーションなどが取れます。
外国人労働者は母国語以外に、英語能力が優れていることが多いので、英語圏の国との交渉も可能です。
このように、特定技能を持つ外国人を雇うことで、海外への進出が有利になります。
特定技能のデメリット
最後に、特定技能のデメリットを説明します。
制度が複雑である
まずは、制度が複雑であることです。
特定技能の制度は結構複雑になっており、企業が理解するのに時間がかかります。
また、企業にとって詳しい申請方法や制度が浸透していないため、「受け入れたくても、どうすればいいか分からない」状態です。
そのため、受け入れ体制があまり整っておらず、申請する外国人の数が減っています。
1号は5年で帰国する
特定技能の1号は上限が5年なので、期間が過ぎたら帰国をしなければいけません。
2号は上限がなく、家族も帯同できる分、特定技能資格を持つ外国人にとっても、住みやすいです。
しかし、1号は5年でしなければいけない分、在留資格を持つ外国人にとって大変なことが多いです。
また、雇う側の企業にとっても、技能実習制度とうまく組み合わせる必要があります。
雇用のコスト
最後に、雇用のコストです。
まずは、特定技能を持つ外国人を、技能実習生と同じ最低賃金で働かせることは法律違反になっています。
特定技能を持つ外国人は、日本人と同じ給与を支払わなければならず、毎月の給料に加えて支援費を平均3万円ほど払います。
また、雇う際には、特定技能の外国人労働者を紹介してもらう手数料を払わなければなりません。
手数料の相場は年収の20〜30%ほどです。
まとめ
今回は特定技能を持つ外国人労働者について説明しました。
特定技能には1号と2号があり、1号は上限5年で家族の帯同ができません。
2号は上限がなく、妻や子供などの家族と一緒に住めます。
特定技能は人材不足の解消、若い人材の獲得、海外進出に有利などのメリットがあり、受け入れ体制が整備されていない、雇用のコスト、1号は5年で帰国などのデメリットがあります。
特定技能資格を持つ外国人を雇いたい場合は、メリットやデメリットをよく吟味するのがいいでしょう。
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