特定技能における「登録支援機関」とは?申請方法や選び方など徹底解説
2021年08月12日昨今何かと話題になる「外国人労働者」の受け入れ問題ですが、近年では日本政府も国内の労働不足を解消するために外国人労働者の受け入れを推進しています。
しかし、言語の問題や指導の際に気をつけるべきことなど、外国人の在留期間の教育や支援計画の策定でお困りの方は多いのではないでしょうか。
本記事では、そのお悩みを解決する「登録支援機関」について、役割や選び方、準備するものについて詳しく解説していきます。
登録支援機関とは?
特定技能における「登録支援機関」とは、特定技能所属機関(特定技能外国人の受け入れ企業)の代わりに特定技能外国人の教育や支援計画を策定、実施する機関のことです。
特定技能所属機関には、特定技能外国人に対する以下の支援計画の義務があります。
1. 事前ガイダンス
2. 出入国する際の送迎
3. 住居確保・生活に必要な契約支援
4. 生活オリエンテーション
5. 公的手続等への同行
6. 日本語学習の機会の提供
7. 相談・苦情への対応
8. 日本人との交流促進
9. 転職支援(人員整理等の場合)
10. 定期的な面談・行政機関への通報
しかし、その特定技能外国人の話す言語を理解できる人材がいない、教育や書類作成に割く時間がないなど、特定技能外国人を教育するリソースを自社で確保するのは難しい場合があり、そのような場合に登録支援機関を利用するケースが多いです。
特定技能1号外国人を受け入れる企業の基準
特定技能1号外国人として労働者を迎え入れる場合、企業側には以下のような基準が設けられています。
- 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上)
- 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
- 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
- 外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)
さらに、この基準をクリアした上で、受け入れ企業には以下のような義務が課せられます。
- 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)
- 外国人への支援を適切に実施
- 出入国在留管理庁への各種届出
もし上記の義務を放棄した場合、外国人を受け入れられなくなり、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受ける可能性があります。
登録支援機関になれる条件
登録支援機関に特定技能外国人の教育を任せるのは不安と感じる方も少なくありません。
しかし、登録支援機関になるためには,出入国在留管理庁の登録を受ける必要があり、登録支援機関として登録する際には、以下のような細かい基準が定められています。
① 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
② 下記の4点のうちのいずれかに該当すること。
・個人であれ団体であれ、2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があること。
・登録支援機関になろうとする個人または団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
・選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
・上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に、支援業務を適正に実施できると認めれていること。
③ 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
④ 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
⑤ 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
⑥ 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行なっていないこと。
上記のように、国に承認された会社や個人のみ登録支援機関として活動できるため、安心して特定技能外国人の教育を任せることができます。
登録支援機関の選び方3つ
登録支援機関を選ぶ際、重視すべきポイントは主に以下の3点が挙げられます。
- 対応可能な言語で選ぶ
- 機関の所在地で選ぶ
- 委託費用で選ぶ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
対応可能な言語で選ぶ
まず初めに確認する必要があるのが、「対応可能言語」の確認です。
特定技能外国人に対する支援を行う際、その外国人が理解できる言語で支援を行っていくことが義務付けられています。
そのため、業務委託先の登録支援機関もその特定技能外国人の言語に対応できる機関を選ぶ必要があります。
あらかじめ対応可能言語を確認してくようにしましょう。
機関の所在地で選ぶ
登録支援機関と特定技能所属機関の所在地が遠い場合、特定技能外国人に対して素早い対応が行えない場合があります。
普段の生活や教育の面ではもちろんのこと、災害時など早急な対応が必要な場合、距離が離れていると非常に厄介ですので、必ず登録支援機関の所在地を確認してから申し込むようにしましょう。
委託費用で選ぶ
登録支援機関に業務委託する際は、必ず複数社の料金を比較しておくようにしましょう。
料金相場としては20,000円〜50,000円で請け負ってくれる業者が多いです。
料金相場に差があるのが現状ですが、ご自身の会社の所在地や登録支援機関の対応言語などを確認してから総合的に判断するのが良いでしょう。
登録支援機関の申請に必要な準備物
登録支援機関に特定技能外国人の教育や支援計画の作成を委託する場合、特定技能所属機関側は以下の書類を随時準備する必要があります。
【随時届け出る必要があるもの】
- 特定技能雇用契約の変更,終了,新たな契約の締結に関する届出
- 支援計画の変更に関する届出
- 登録支援機関との支援委託契約の締結,変更,終了に関する届出
- 特定技能外国人の受入れ困難時の届出
- 出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出
【定期的に届け出る必要があるもの】
- 特定技能外国人の受入れ状況に関する届出(例:特定技能外国人の受入れ総数,氏名等の情報,活動日数,場所,業務内容等)
- 支援計画の実施状況に関する届出(例:相談内容及び対応結果等)※支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合を除く
- 特定技能外国人の活動状況に関する届出(例:報酬の支払状況,離職者数,行方不明者数,受入れに要した費用の額等)
自社内で特定技能1号人材を支援する際の負担
登録支援機関に業務委託する際にネックになるのが「委託費用」ではないでしょうか。
しかし、自社内で教育を行う場合はそれに対応した人材の選定や100枚を超える書類作成など、様々なリソースを割く必要があるため、結果的に登録支援機関に業務委託した方が低コストで抑えられる場合が多くあります。
さらに、自社で教育を完結させようとする場合は他にも法的な問題が絡んできます。
適切な対処を行わないと法律違反のリスクもあるため、出入国在留管理庁に認可された登録支援機関に業務委託することでそれらのようなリスクを背負わなくても済むでしょう。
大企業であれば、特定技能外国人の受け入れ体制がしっかり整っている場合もあり自社内で完結できる可能性がありますが、中小企業の場合はそのような体制が整っていない場合も多いため、登録支援機関の利用を検討してみると良いでしょう。
登録支援機関の探し方
登録支援機関を利用する場合、法務省が運営する以下のサイトで確認可能です。
該当する都道府県を選ぶと一覧表を確認することができます。
【法務省「登録支援機関登録簿」】
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00205.html
外国人労働者の人材育成はナレッジが蓄積された登録支援機関に委託しよう
この国において、登録支援機関は特定技能外国人の教育や支援計画を策定する際に非常に役割を果たしています。
利用の際は、各種法令をしっかりと把握し、法令違反とならないように気をつけましょう。
自社で環境を整えるよりも、ナレッジの蓄積された登録支援機関に業務委託することで、法律違反のリスク回避だけでなく、時間や費用、人材などのリソースの確保にも繋がります。
この機会にぜひ、登録支援機関の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
こちらもオススメ