特定技能における登録支援機関の役割
2021年08月12日
特定技能者と関係しているのが「登録支援機関」です。技能実習生などを雇用した経験があれば、1度は聞いたことがあるでしょう。
「特定技能者のために、仕事や生活の支援をしたい」
「一人前の特定技能者を育成したい」
このような志のある人は、登録支援機関としての活動がおすすめです。
そんな社会貢献力の高い人に向けて、登録支援機関の申請資料、条件、義務的・任意的支援の内容を紹介します。
少しでも登録支援機関に興味のある人は、仕事内容だけでも覚えてもらえると幸いです。
必要な申請書類一覧
特定技能の登録支援機関への申請には、以下のような10種類の書類が必要です。
【登録支援機関の申請に必要な10個の書類】
・登録申請書
・住民票の写し(個人のみ)
・登記事項証明書(法人)
・定款又は寄付行為の写し(法人)
・役員の住民票の写し(法人)
・概要書
・誓約書
・支援責任者や担当者の履歴書・承諾書・支援業務誓約書の写し
・収入印紙
・返信用の封筒(レターパックや簡易書留)
確定申告よりも提出書類が多いので、不備や記入ミスに注意してください。
登録支援機関になりたい企業の申請条件
特定技能の登録支援機関になるには、申請の条件があります。
この条件に該当する企企業であれば、特定技能者への支援ができます。
ここでは、登録支援機関を希望する企業に求められる7つの条件を紹介します。
【条件1:支援責任者や1人以上の担当者を選ぶ】
1つ目の条件は、支援責任者や1人以上の担当者が必要です。
特定技能者の支援をするなら、支援活動を引っ張る人材が欠かせません。
責任者や担当者には、特定技能関連の仕事をした経験者が適任です。
人材不足だとしても、経験の浅い人材に任せるのはリスクが高いでしょう。
【条件2:中長期在留者を受け入れた実績がある(2年以内の実績)】
特定技能の登録支援機関の申請をするには、中長期在留者の受け入れ実績が必要です。
直近2年間の実績が見られるので、3年以上前の受け入れ実績では意味がありません。
【条件3:相談業務をしたことある(2年以内の実績)】
3つ目の条件は、2年以内に相談業務をした実績です。
2年以内に外国人の支援をしていれば、登録支援機関の条件をクリアしています。
【条件4:支援担当者が直近5年間で2年以上の長期在留者の生活相談をしているか】
4つの目の条件は、支援担当者が5年間で2年以上の長期在留者の生活相談が必要です。
または、直近5年以内で2年以上の生活相談実績があればOK。
【条件5:特定技能または技能実習生が逃亡していないこと】
5つ目の条件は、特定技能者または技能実習生の逃亡有無です。
企業側のせいで外国人が逃亡したら、登録支援機関になれません。
【条件6:外国人が支援費用を負担しているか】
6つ目の条件は、外国人に支援費用の負担させているかです。
もし、外国人に「支援するから、お金を出してほしい」と要求していれば、登録支援機関になれません。
【条件7:その他、登録支援機関に申請できない条件】
7つ目の条件は、以下の登録支援機関になれない条件に該当する場合です。
- 禁固刑になり、執行猶予を受けて5年以内の人
- 労働基準法の違反などで、執行猶予を受けずに5年以内の人
- 暴力団に所属して、罪をおかして5年以内の人
- 健康保険や船員保険法などで罰せられた人
- 精神的な病気を抱えた人
上記のような条件に該当していれば、特定技能の登録支援機関になります。
登録支援機関における2つの支援
登録支援機関では、しなければならない「義務的支援」と必須ではない「任意的支援」があります。
ここでは、10個の義務的支援と5つの任意的支援を紹介します。
義務的支援
登録支援機関の義務的支援は、特定技能者にしなければならない支援になります。
事務的支援の内容については、次の文章をチェックしてください。
●来日前のオリエンテーション
義務的支援の1つ目が、来日前のオリエンテーションです。
オリエンテーションは、対面またはオンラインで行われて、支援担当者から以下のような説明を受けます。
- 労働条件
- 日本での支援内容
- 違約金の支払いを求めないこと
- 来日時の送迎を約束
- 住居の確保
- 仕事やライフスタイルの相談やクレームを受ける
- 支援担当者の連絡先を開示
また、事前のオリエンテーションは、メールやチャットでの実施ができません。
しっかりと対面やオンラインなど顔が見える状態で説明しましょう。
●入出国時の送迎
特定技能の登録支援機関は、入国時の送迎も必須です。
以下の2か所への送迎は必須なので、しっかりと対応しましょう。
●来日した港や飛行場
登録支援機関のオフィスや特定技能者の自宅
特定技能者が帰国する場合も、送迎が必要です。
また、空港などに送り届けるだけはなく、保安検査場までの同伴が必要です。
●ライフラインの支援
特定技能者のライフラインの支援も必要です。
例えば、 社宅や賃貸に住んでもらう時に保証人となったり、 銀行の口座開設や水道やガスなどライフラインの手続きもします。
特定技能者が困っている場合は、 資料を提供したり、窓口への申請時に同伴もします。
●生活オリエンテーション
登録支援機関は、特定技能者への生活オリエンテーションも実施します。
ここでは、銀行の使い方、公共機関の利用方法、ゴミ出しのルールといった日常生活を送る上で必要な知識を教えます。
また、生活オリエンテーションが終了したら「確認書への同意」も忘れないでください。
●公的書類の作成補助
登録支援機関は、特定技能者の公的手続きもします。
住民票や国民年金の申請などを支援してください。
●日本語学習支援
登録支援機関は、日本語学習支援もします。
特定技能者が日本での仕事や生活で困らないためには、日本語を覚えなけばいけません。
日本語教室や学校の入学案内はもちろん、日本語の自主学習用教材やコロナウィルスで需要が増えた「オンライン日本語講座」の提供もしてください。
特定技能者が合意すれば、日本語教師の契約もします。
●職場のクレーム処理
特定技能者が勤務する職場のクレーム対応もします。
例えば、上司からパワハラを受けていたり、十分な給料を支払っていない場合は、特定技能者から相談があると対応しなければいけません。
例えば、労働条件のトラブルがあれば、 労働基準監督署の相談や手続きも行います。
平日週3日と土日の1日以上は、勤務時間外の相談をしたり、議事録の作成も必要です。
特定技能者が安心して働けるように、手厚い支援が必要です。
●日本人との交流イベントを紹介
登録支援機関は、 特定技能者の日本人との交流も支援します。
例えば、 居住エリアのボランティア団体のイベントや勤務先の周辺で行うお祭りなどの案内です。
特定技能者と日本人の交流が義務付けられているので、支援をしてください。
●解雇後の転職支援
就職先の都合によって特定技能者を解雇する場合は、転職活動の支援が必須です。
例えば、転職先の情報やハローワークへの紹介もします。
登録支援機関が職業紹介ビジネスをしている場合、仕事のあっせんも必要です。
ほかにも、有給休暇の付与や退職後の健康保険・年金に関する手続きも支援します。
●就労先との面談
特定技能者と登録支援機関は、3ヶ月1回の面談が義務付けられています。
例えば、勤務先からパスポートを没収するなどのトラブルがあれば、対応機関への通報もしましょう。
任意的支援
特定技能者への任意的支援は、義務的支援のような義務ではありません。
しかし、特定技能者が日本で安心して勤務するために、任意的支援は必要でしょう。
●出国時の送迎
日本にいる時に在留資格を変更していない場合は、出国時の送迎は必要ありません。
しかし、登録支援機関が送迎したり、日本国内での交通費を支給してもOKです。
●雇用期間終了後の支援
特定技能者の契約が終了した場合も、登録支援機関は転職先が決定するまで支援が必要になります。
急に仕事を失った特定技能者のために、失業保険の申請支援などがベストです。
●生活オリエンテーション以外の情報提供
特定技能者に役立つことなら、登録支援機関からの情報提供もした方が良いでしょう。
●日本語学習の促進
登録支援機関の責任者が、特定技能者への日本語教育を推進することが大切です。
例えば、 転職に役立つ日本語能力試験の取得などを支援します。
日本語能力試験の2級と1級では、求人数が違うので難易度の高い1級の取得を目指してもらいましょう。
●相談先リストの提供
勤務先や生活で困ったときの連絡先を、リストにまとめましょう。
特定技能の登録支援機関まとめ
登録支援機関は、特定技能者と日本の未来を明るくする大切な仕事です。
登録支援機関を始めたい人は、義務的・任意的支援を理解しましょう。
また、登録支援機関の条件や仕事内容は、法律の改正によって変わります。
最新の情報をアップデートして、いつでも特定技能者の支援ができる体制を整えてください。
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